自然あふれる癒しの里山
レッドヒル ヒーサーの森へようこそ!
2016年の秋、三重県津市高野尾町に『レッドヒル ヒーサーの森』がオープンしました。
長い年月をかけて荒れた地を拓き、花木を植え、水を湛え、命を芽吹かせる。
ここには人の手によって再生した自然の姿があります。
人と自然が寄り添い、共に生きるとはどういうことか。
この山に、この森に来れば、その答えがきっと見つかるはず。
さあ、人と自然のふるさとへ、出かけましょう。
赤塚グループ会長・赤塚充良と巡る
「レッドヒル ヒーサーの森」のおすすめスポット
四季の花々が咲き誇り、池は豊かな水をたたえ、木々は枝葉を延び延びと広げている―。
美しくものどかで穏やかな心癒される森。それは誰もが求めて止まない“心のふるさと”です。
2016年9月30日にグランドオープンを迎えた「レッドヒル ヒーサーの森」は、まさにそのふるさとの風景そのもの。さらにこの山は、さまざまな品種の花や樹木を育てて研究する場という側面も持っています。
そこで今回は、赤塚グループ代表取締役会長の赤塚充良氏とともに「レッドヒル ヒーサーの森」を散策しました。
自然の恵みと人間の知恵が調和し、心地よい安らぎを与えてくれる―そんな至福の時間を楽しめるとっておきのおすすめスポットを、いくつかご紹介します。
香り芳し、見目麗し、美しきバラの園
ローズガーデン
2,500㎡の庭に、人気の高い品種を中心に400品種ものバラを集めた「ローズガーデン」。イギリスのバラ育種家デビット・オースチンが作出したイングリッシュローズをはじめ、注目のバラを本来の姿でご覧いただけます。
ガーデン内は宿根草とバラのコラボレーションを楽しめるコーナー、香りゾーン、ブルーゾーン、変わり咲きゾーン、「ジュンコ スタイル」として注目の女性育種家 河本純子氏作出のコーナーなどのエリアに分かれており、それぞれ個性的な美しさを楽しめます。
また今回が初発表となる赤塚オリジナルローズ『コリーヌ・ルージュ シリーズ』も栽培されています。
レッドヒルの象徴として人気
コニファー広場
レッドヒルに来たら外せないのがコニファー広場。レッドヒルを代表する象徴的なスポットです。
コニファーとは細長い、針のような葉を持つ針葉樹の総称のこと。私たちが知っている針葉樹で言えば、スギやマツ、ヒノキ、クリスマスツリーでおなじみのモミの木などもコニファーになります。
手前にある「こころの池」から段々になって広がる芝生の広場にたたずんで、とんがり帽子が並んでいるようなコニファーの森を眺めると、まるでヨーロッパの庭園にいるような楽しい気分に。色とりどりのコニファーが絵心をくすぐるのか、毎年恒例の親子写生大会でも人気の場所になっています。
レッドヒルの名前の由来になった
レッドウッドの森
コニファー広場の先に見えてくる、〝世界一のっぽの木〟センペルセコイアの木立です。
センペルセコイアは別名「レッドウッド」。この木がたくさん育ってほしいという思いが「レッドヒル」の名前の由来になりました。
1999年に2,000本ものセンペルセコイアが植樹され、1,000本目は赤塚会長夫妻によって手植えされました。「見上げるような大木の木陰でゆったり過ごす心地よさは格別です」と、赤塚会長もおすすめのスポットです。
自然に抱かれて森を歩けば、
誰もが心穏やかに、やさしい気持ちになれる。
心やすらぐ癒しの空間
こころ庵
レッドヒルのなかでもひと際落ち着いた雰囲気を醸し出しているのが、構想から実に3年以上の歳月を費やした「こころ庵」です。
美しい芝が敷き詰められ、静寂に包まれた庭には日本情緒あふれる庵が設けられています。
外国人のお客さまにも好評で、2010年に開催されたIGCA(国際ガーデンセンター協会)の日本大会で、各国から数多くのガーデンセンターのオーナーらが視察に来られた際には、「こころ庵」で野点を行い、みなさまに日本文化や和の心を知っていただきました。
心静かにひと息つけば、日本文化の奥深さが胸にしみてきます。
心地よい風と眺望の丘
風の門
レッドヒルの頂上は標高にして約80m。そこに位置する「風の門」は、晴れて空気が澄んでいる日には、正面に伊勢湾を望み、双眼鏡があれば伊勢方面までも見渡せる、絶好の眺望スポットです。
またスポットの名前にもなっているように、木々の間を吹き抜けてくる、やさしくさわやかな風も大きな魅力のひとつ。
芝生にシートを敷いてゴロリと横になり、風の音を聞きながらウトウトとうたた寝すれば、きっとステキな夢が見られるはずです。
動物たちの憩いの場
噴水の丘
噴き上がる水を囲んで子どもたちは駆け回り、大人はベンチでリラックスする。公園の噴水でよく見かける光景です。
レッドヒルの頂上手前、風の門に続く丘にも、ヨーロピアン風のデザインがかわいらしい噴水が設けられています。
またその噴水を取り囲むようにつくられた花壇は、トレニアやマリーゴールド、パンジー、ビオラなど四季折々の花々で彩られています。ときには花壇の花を狙って野ウサギがあらわれることも。グルメでいたずら好きな動物たちと出会えるかもしれません。
移りゆく四季を見下ろす展望席
みはらし台
もうひとつのおすすめ眺望ポイントがレッドヒル中腹に設けられている「みはらし台」です。
スイレン池の周辺を見下ろせる高台の展望台で、春はサクラ、春から初夏にかけてはシャクナゲ、秋には紅葉と、レッドヒルの四季の移ろいが眼下に広がります。
また視線を上げると、「風の門」からの風景とは違った角度で伊勢方面までを見渡せます。
「みはらし台」の周辺にもユキヤナギや平戸ツツジ、サクラなど季節の花々が植えられ、設置されたベンチでひと休みしながら花と眺望の両方を楽しめます。
水の〝音色〟にホッとひと息
浄明の滝
スイレン池の奥に歩を進めるとどこからか聞こえてくる水の音。その正体は「浄明の滝」です。
こじんまりとした滝ですが、その水量は思った以上に豊富。滝の水が流れ落ちる音、水面や岩に衝突して飛び散る水しぶき―。
日頃の喧騒を離れて滝の周辺にあふれるマイナスイオンに包まれれば、心も身体も癒され、ストレスなどスーッと消えてしまうはず。
とくに暑い夏には、一服の涼味を得られる欠かせない場所です。
また、滝には免疫力を高める効果があるとも言われています。「浄明の滝」は、レッドヒルの癒しのオアシスであり、〝パワースポット〟でもあるのです。
美しい花々が水面で微笑む
スイレン池
レッドヒルの大きな見どころのひとつが豊かな水を湛え、スイレンの花が咲き誇る「スイレン池」。5月中頃から花が咲く温帯スイレンと、7月中頃から花が咲く熱帯スイレンの2種類が楽しめます。
とくに熱帯スイレンはビッグサイズ。手のひらほどの大きな花が咲き、夏の水辺を彩ってくれます。
一角にはオリーブ橋と呼ばれるアーチ形の瀟洒な橋が架かり、橋の向こうにはのんびり回る水車、池の奥には浄明の滝が心地よい水音を響かせる―花と水の奏でるフランス絵画のような美しい世界を楽しんでください。
豊かな水、可憐な花、澄んだ空気……。大自然の魅力の
すべてがここにある。
レッドヒルにまつわる〝あんな話、こんな話〟
癒しの森をもっと楽しむ
〝知っ得〟エピソード
自然の癒しあふれる「レッドヒル ヒーサーの森」には、ほかにもこの森に託した思いが伝わってくる見どころがいっぱい。
ここではレッドヒルをもっと楽しめる情報をいくつかをご紹介します。
描くのは「親と子の絆」
春の恒例行事「レッドヒル親子写生大会」
「レッドヒル ヒーサーの森」には〝親子の絆の大切さ〟というテーマが託されています。それは〝生みの親〟である園主赤塚ひさ子の想いです。その想いから生まれたのが、2016年で16回目の開催となる「親子写生大会」。
シャクナゲがきれいに咲く春の1日、レッドヒルを解放して開催されます。毎年500人を超える親子連れが参加、親子で美しい風景を描く楽しさを満喫しながら、自然や命の大切さを心と体で学ぶ一大イベントになっています。
里山を彩る気高き美しさ
アカツカオリジナルシャクナゲに注目
花木の女王と言われ、その気品に溢れた美しさが多くの人々を魅了してきたシャクナゲ。ヒーサーの森には多くのシャクナゲが植えられています。
アメリカで目にしたシャクナゲに魅了された赤塚充良会長が、日本中にその美しい花が咲き乱れることを夢見て、導入と普及を図ってきました。
しかし海外で育成された品種は、日本の夏の暑さに弱いものが多く、その栽培は苦労の連続。「日本の気候に合うシャクナゲは日本で育成するしかない」との思いから自社での交配を始め、誕生したアカツカオリジナルシャクナゲがヒーサーの森に植えられています。
オリジナルシャクナゲを植えることで、春の里山を彩るだけでなく、植えられた環境によるシャクナゲの花や葉の様子や、コニファーなど他の樹木や花木との相性の確認も行われています。レッドヒル ヒーサーの森は、そうした側面も持っている大事な場所なのです。
恋愛成就や夫婦円満に効く!?
隠れたパワースポット「語らう老夫婦の像」
レッドヒルには、恋のパワースポットがあるのをご存知ですか? 場所はコニファー広場脇、こころの池を臨む芝生の一角。そこには、老夫婦が寄り添ってベンチに腰掛けている姿をかたどったモニュメントが置かれています。
これは以前、赤塚会長夫妻がアメリカ・カリフォルニア州モントレーを訪れた際に立ち寄った公園で発見。
その愛にあふれ、心温まる姿にひとめぼれし、全米を探し回って探し当て、同じものを手に入れたといいます。そんな赤塚夫妻にとって思い入れの深いモニュメント、実は世界に21体しかないプレミアものなのです。
互いに手を携え、足を絡めて憩いのひと時を仲睦まじく過ごす老夫婦の姿に触れれば、誰もが優しくなれるはず。
夫婦や恋人同士など大切な人と大自然のなかで永遠の愛を語りたくなる、レッドヒルの〝恋の聖地〟です。
荒れた野山にたくさんの花を
実在した「平成の花咲爺さん」の記念碑
レッドヒルの頂上にほど近い噴水の丘の中腹に、ひとつの石碑があり、そばには桜の木が植えられています。
石碑に書かれているのは『平成の花咲爺さん』の文字。これは1994年に赤塚充良会長の取り組みを追ったNHKの番組の放映記念で植樹をした際に立てられたものです。
番組内で会長は野球解説者の星野仙一氏、女優の宮崎美子さんと対談。造成から3年ほどのレッドヒルで「5年でこの山を花でいっぱいにする」という会長の想いも紹介されました。
荒れた山にたくさんの花を咲かせましょう―その念願をかなえた会長は、まさに〝平成の花咲爺さん〟です。
レッドヒル造成への想いがより加速した大きなきっかけであり、里山再生、レッドヒル誕生の礎となった記念碑と記念樹は必見のスポットです。
赤塚充良会長に聞く
「レッドヒル ヒーサーの森」に託したこと
―レッドヒルの造成が始まったのは、今から25年前。そもそも、なぜこうした施設をつくろうと思い立ったのでしょうか?
「若い頃―あれは大阪万博の頃ですか―私は、この村(現・津市高野尾町)をサツキの一大産地にすることで活性化させたいという夢を持っていました。さらにみんながお弁当を持って集まれるような場をつくりたいとも考えていたんです。10ヘクタールくらいの山にサツキを植えて、その花を楽しむ。そうすれば村も人もより豊かになるな、と」
―地元の人々の憩いの場をつくる、その夢を実現したのですね。
「その後、いろいろなご縁があって山を購入することになり、1991年からその山に少しずつ手を入れ始めました。さらに3年後の1994年、NHKの番組で取材を受け、私が『平成の花咲爺さん』として紹介されることになります。それをきっかけにして、『5年後にはこの山を花でいっぱいにしよう』と決意し、本格的にレッドヒル造成の取り組みを始めたのです」
―しかし当時、会長は〝営業に出る社長〟として多忙を極めておられたそうですね。
「はい。いつも世界中を飛び回っていましたから。そこで妻が「私が山の手入れをやります」と。「思うようにやってごらん」と私。それからの妻は世界中の公園を見て歩き、『世界のどこにもない、日本の風土に合った四季を楽しむ里山をつくりたい』と、精力的な活動を始めたのです」
―専務でもあった奥様が、多くの技術者や職人とともに造成作業を行われたということですか?
「そうです。『来たらいろいろ口を出すから、あなたは完成するまで来んでもいい』と言われまして(笑)。でも妻の苦労は並大抵のものではありませんでした。何度も失敗を繰り返して試行錯誤する毎日。それに加えて専務としての社内業務もあるのですから」
―しかも一家の母親でもありますよね。さらに海外からの研修生たちが暮らす宿舎では彼らの母親代わりでもあるのだとか。
「妻をレッドヒルの造成、里山の再生へと動かしたものは、彼女の持つ〝母の慈愛〟なのかもしれません。荒れ果てた山を整え、沼にたまった泥を取り除き、花の種をまき、苗木を植える。このレッドヒルも妻にとっては自分が愛情を注いで育てた〝わが子〟なのだと思います。毎年恒例になっている親子写生大会も、妻の〝親と子の絆を大切にしたい〟という想いから生まれたものです」
―『ヒーサーの森』とは「ひさ子さんの母の慈愛があふれる森」という意味なんですね。
「故郷の村を豊かにして人々が集う場所をつくりたいという昔から変わらない私の夢、手塩にかけたわが子のようにその山や森に愛情を注いだ妻の慈愛。このふたつの想いによって生まれたのが『レッドヒル ヒーサーの森』なのです」
私が抱いた夢と妻の慈愛。
ふたつの想いがひとつになって
荒れた山は美しい森に生まれ変わった
赤塚充良(あかつか みつお)
赤塚グループ代表取締役会長。三重県高野尾町で生まれ、三重県の園芸振興に多大な貢献をするとともに、日本の新しい園芸のあり方を提唱し、自ら実践している。昭和59年からは「水の働き」に着目して研究を始め、人々の健康、地球環境、経済を同時に改善する技術「FFCテクノロジー」を開発し、この技術の普及に力を注いでいる。
「レッドヒル ヒーサーの森」はこうして生まれた
荒れ果てた山が〝命〟を取り戻すまで
この村に里山を再生しよう―。夫である赤塚充良社長(当時)から山を託されたひさ子専務はそう決意した。
里山とは、やみくもな開発ではなく、人が手を入れることで生態系が保たれ、人と自然が調和している場所のことだ。『レッドヒル ヒーサーの森』は、まさに里山のあるべき姿ではないだろうか。
1991年、自身の思いに共感した多くの技術者や職人たちとともに里山再生に取り組み始める。造成の第一歩は、山を切り拓いて道をつけ、低地をつくること。急な傾斜が多い地形ゆえ、大きな植物を植えるには地形改良から始める必要があった。さらに沼地も多く、排水処理が大きな壁になるなど状況は厳しく、レッドヒルのシンボルであるセンペルセコイアの植樹までに約8年を要することに。
その後、地元の豊かな土を大量に運び込んで土壌を育て、新たに池や小川の造成に着手。大雨で造成中の池が決壊したり、半年かけて荒れた竹やぶを刈り取ったり、幾多の困難にみまわれながらも、荒れ果てていた山は少しずつ、だが着実に美しい自然と命の宿る場所へと生まれ変わっていった。
そして造成から四半世紀。〝母の慈愛〟が育てた里山は今、人々を癒やす憩いの場として美しい姿を現す―。
大自然に抱かれる楽しさがここに
「レッドヒル ヒーサーの森」ガイドマップ
総面積13万㎡、そのうちの約6万㎡が公開される「レッドヒル ヒーサーの森」。
広大な里山を散策する際に便利なイラストマップを誌上公開します。
日本の風土に合った四季を楽しめる里山を―そんなコンセプトで新たにオープンした「レッドヒル ヒーサーの森」では、シャクナゲを中心に約1,000品種、1万本以上の花木や草花を楽しむことができます。
「レッドヒル ヒーサーの森」は、2016年7月にオープンした高野尾花街道「朝津味」に隣接。株式会社フューチャー・ファーム・コミュニティ三重が運営する朝津味とともに、地域発展への貢献も期待されています。
広大な敷地は、大きく2つのエリアに分けられています。センペルセコイアの大木が育ち、広大な自然がそのまま残る「森のエリア」。
そしてローズガーデンや宿根草、スイレンの花咲く池や小道が魅力の「花のエリア」です。
珍しい花木やバラ、モミジや山野草に囲まれながら、滝の流れに噴水、小川のせせらぎとそよ吹く風に耳をすませるひとときは、まさに至福の時間。大自然の恵みに心を癒されてみませんか。
【お問い合わせ先】
株式会社 赤塚植物園 レッドヒル ヒーサーの森
〒514-2221 三重県津市高野尾町2877番地
(朝津味のとなり)
TEL 059-230-7789
※営業時間や入園料など、詳細は下記のホームページをご覧ください。
https://www.redhill.co.jp
2016年10月発刊『BOSCO 16号』掲載 [特集]
撮影/野呂英成 取材・文/柳沢敬法
写真・MAP提供/赤塚植物園
※内容は、掲載当時のものです。