対談 赤塚耕一×舟橋淑行さん

世界新記録に挑戦し続けて、“生涯現役”の模範となりたい。

今回のゲストは、マスターズ水泳大会という舞台で、数々のメダルと世界新記録を樹立し、喜寿を迎える今年もなお、さらなる高みへと挑戦を続ける舟橋淑行さん。フィランソリーダーとして活躍しながら、誰もが憧れる健康長寿・生涯現役を実践している舟橋さんに“超健康体”を維持する秘訣をお聞きしました。

『BOSCO TALK』
赤塚耕一 × 舟橋淑行さん(有限会社アクア・メッセ代表取締役)

2016年4月発行『BOSCO 14号』掲載 BOSCO TALK


73歳当時の舟橋さん。この力強い泳ぎで、マスターズ水泳で世界新記録4回、世界大会で優勝3回という快挙を成し遂げた。

赤塚 世界マスターズ水泳で4度の世界新記録という輝かしい実績をお持ちですが、まずは年齢をおうかがいしてもいいですか。

舟橋 今年で77歳になります。

赤塚 お顔の色つやも身のこなしも隆々とした腕の筋肉も本当にお若いですね。ぜひその健康の秘訣をお聞きしたいのですが。

舟橋 最近心がけているのは、昔からよく言う「年寄り半日仕事」の実践。1日の半分は仕事をして、あとの半分は水泳の練習を含むトレーニングに充てています。

赤塚 どのくらいのトレーニングをなさるのですか。

舟橋 水泳の練習と夜3㎞のウォーキングは週に5回くらい行っています。あとは週1回ジムで筋トレをしたりスクワットをしたり。そして風呂上りにはストレッチと自己マッサージをするのがルーティンです。

2014年2月、4度目の世界新記録を樹立し、表彰されて観客に手を振る舟橋さん(左)。 2010年7月の世界マスターズ水泳で金メダルを獲得した際、フィランソの皆様から送られた寄せ書き(右)

2015年7月に行われた「ジャパンマスターズ2015」の50m背泳ぎで、自身の持つ世界ランキング1位の記録を更新(37秒68)したときのメダルと公認記録証(左)。
2014年2月の「中日スポーツマスターズスイミング2014」の50mバタフライ(75~79歳の区分)で樹立した世界新記録(32秒61)の証明書(右)

赤塚 いや、すごいですね。やはりそうした日々の積み重ねが健康長寿の基本ということでしょうか。

舟橋 はい。でも大事なのはまず好きになって楽しむこと。私は泳ぐのも歩くのもトレーニングも、楽しくて仕方がないんですよ。だから毎日できる。私くらいの年になったらもう頑張り過ぎてはダメ。イヤイヤやるのもダメなんですね。

赤塚 好きだから明日もやりたくなる。来年もやりたい。何年後もやっていたい。こうした気持ちがモチベーションになるのですね。

舟橋 そう、自分の年齢と相談しながら、自分の体力を過信せずに自分がいちばん楽しくできる方法を選べばいいんですよ。

赤塚 ほかにも秘訣はありますか。

舟橋 健康に欠かせないのはやはり生活習慣です。例えば食事は食べる時間を決め、量は腹八分、栄養バランスを考えて、よく噛む。ぐっすりと寝る。便意があったら逆らわず出す。そして自分に合った運動をする。こうしたリズムのある暮らしを心掛けています。

あと4回は世界新記録を出したい。
だから3年後、
80歳の区分で世界新記録を出すために
すでに練習を始めています。

生涯現役のために健康寿命を延ばしたい

赤塚 舟橋さんは介護などを必要とせずに活動できる期間、いわゆる“健康寿命”を意識されているとお聞きしました。

舟橋 日本人の健康寿命は男性が71歳、女性が74歳。平均寿命は男性が約80歳で女性が約86歳。つまり平均寿命から健康寿命を差し引くと男性で約9年、女性では約12年も介護が必要となります。ずっと健康でいきいきと暮らすには健康寿命を延ばすことがとても重要なんです。

赤塚 健康寿命が延びれば、自然と生涯現役もかないますよね。

舟橋 おっしゃるとおりです。私が水泳で世界記録に挑戦するのは、パイロゲンと良い生活習慣で健康寿命はここまで延ばせる、生涯現役も実践できるという模範になりたいからです。それが、私ができる社会貢献のひとつの形ではないかと思っているんです。

赤塚 世界記録というご自身の挑戦で、多くの人々に元気と希望を与えたいという目的がある。健康長寿で生涯現役を全うするには人生に目標を持つことが重要なのだということを、舟橋さんはまさに体現されていますね。

舟橋 ありがとうございます。実は何とかあと4つ世界新記録を出したい。そうすると生涯で8つの世界新を出すことになります。それもまた私の人生の目標です。なので、いまから80歳区分に上がったときのために、個人メドレーの練習も始めているんです。

多くの人に希望を届ける―。
人生に目的を持つことも、
健康と生涯現役のために欠かせないのですね。

命と自然の営みへの感謝と畏敬を忘れない

赤塚 アスリートは心技体の充実が重要とよく言います。「技」と「体」は言わずもがなですが、ここでは舟橋さんが考える「心」の大切さについてお聞かせください。

舟橋 生命の存在も、大自然の神秘なる営みも、まさに人智を超えた領域のもの。そうした偉大なる力に畏敬の念、感謝の気持ちを忘れてはいけないと思うんですね。私は毎日、起床後と就寝前に、命の神様に感謝の言葉を伝えることを日課にしています。

赤塚 素晴らしいですね。そうしたお考えは、「自然に感謝し、共に生きることで人の心の豊かさを育みたい」というBOSCOのコンセプトにも通じていますね。地球上のすべてのものに感謝し、畏敬の念を持つこと。健康とは身体だけでなく、美しい心があってこそということ。そんな人間にとって大切なことを、とくに若い世代の人には舟橋さんの“心技体”から学んでほしいと思います。本日はありがとうございました。

健康づくりの中心にパイロゲン、その両輪に運動と生活習慣という舟橋さん。その若々しい生き方に赤塚社長も感銘を受けた。


舟橋淑行(ふなはし・よしゆき)さん

1939年愛知県小牧市生まれ。1962年早稲田大学卒業(4年間水泳部に所属)。1994年に55歳で日本マスターズ水泳大会50mバタフライで世界新記録(29秒88)。以降、数々の大会でメダルを獲得し、これまでに4回の世界新記録を樹立している。現在はパイロゲン並びにFFC製品の取扱代理店(株)アクア・メッセの代表取締役。

舟橋さんはこれまでに『死ぬまで健康』『お天道さまが見てござる』『驚異の蘇生革命』という3冊の本を出版。また独自にFFC会報『カッパ通信』を19年にわたって発行し続けている。


取材・文/柳沢敬法 撮影/野呂英成