心に咲く花 12回 水仙
白鳥が 生みたるものの ここちして 朝夕めづる 水仙の花― 与謝野晶子 【現代訳】 寒のさなかに咲く水仙はまるで白鳥が生んだような思いになる花です。 朝にも夕暮れにも愛でたくなるすばらしい水仙の花。 心に咲く花 2019…
白鳥が 生みたるものの ここちして 朝夕めづる 水仙の花― 与謝野晶子 【現代訳】 寒のさなかに咲く水仙はまるで白鳥が生んだような思いになる花です。 朝にも夕暮れにも愛でたくなるすばらしい水仙の花。 心に咲く花 2019…
あらしふく 御室(みむろ)の山の もみぢばは 竜田の川の 錦なりけり― 能因法師 【現代訳】 山風が吹き散らす「御室山」の紅葉が竜田川の水面を彩っている。 その彩りの美しさ、見事さ。まるで錦を織り成したようではないか。 …
秋をおきて 時こそ有りけれ 菊の花 うつろふからに 色のまされば― 平貞文 【現代訳】 秋を過ぎても盛りの時期がある菊の花。色が移ろいゆくほどに味わい深く、美しさがさらに優ってゆくのだから。 心に咲く花 第10回 菊 古…
曼珠沙華 咲く野の日暮れは 何かなしに 狐が出ると おもふ大人の今も― 木下利玄 【現代訳】 彼岸花とも呼ばれる「曼珠沙華」が咲いている野の夕暮れは、何となく狐が出ると思われるよ、大人になった今でも。 心に咲く花 第9回…
我が里に 今咲く花の をみなへし 堪(あ)へぬ心に なほ恋ひにけり― 『万葉集』詠み人知らず 【現代訳】 私の里に咲いているつつましやかで麗しいおみなえし。 そんな花のように可憐なあの人に会いたくて、堪え難いまでに恋しく…
夏深み 入江のはちす さきにけり 浪にうたひて すぐる舟人 ― 藤原(九条)良経 【現代訳】 夏が深まりゆく入江には蓮の花が咲いています。 水上に大きな多弁の花を咲かせる蓮の花。あまりにも美しいその姿に、舟を漕ぐ人も思わ…
道ばたの 空地に群るる つゆ草の 澄みたる藍は 草にまぎれず ― 芹澤たみ 【現代訳】 道端の空地に藍色のつゆ草が群れるように咲いています。 澄みわたった美しいつゆ草の藍色。小さな花ではあっても決して草に紛れることなく、…
道のべに どくだみの花 かすかにて 咲きあることを われは忘れず ― 斎藤茂吉 【現代訳】 道端に小さなどくだみの花が咲いています。 どんなに小さくても、微(かす)かな存在ではあっても、この大地に咲いてくれているどくだみ…
故郷は 庭もまがきも 荒れゆけど 心とどまる つぼすみれかな ― 慈円 【現代訳】 ふるさとは庭も垣根もすっかり荒れてしまったけれども、強く心に惹かれるすみれであることよ。 心に咲く花 第4回 すみれ この春は小さなすみ…
たんぽぽの 綿毛を追ひて 遊びたる 遥かなる日の 野辺なつかしき ― 皇后陛下 【現代訳】 たんぽぽの綿毛を追いかけながら、こどもたちと楽しく遊んだ、遥かなあの春の日。 あの野辺が今、とてもなつかしく感じられます。 心に…