心に咲く花 71回 ゆずり葉
いにしへに恋ふる鳥かも 弓絃葉(ゆずるは)の 御井(みい)の上より鳴き渡りゆく ― 弓削皇子 【現代訳】 昔を偲んでいる鳥なのでしょうか。ゆずり葉の泉の上を鳴き渡って行くところをみると‥。 心に咲く花 2024年71回…
いにしへに恋ふる鳥かも 弓絃葉(ゆずるは)の 御井(みい)の上より鳴き渡りゆく ― 弓削皇子 【現代訳】 昔を偲んでいる鳥なのでしょうか。ゆずり葉の泉の上を鳴き渡って行くところをみると‥。 心に咲く花 2024年71回…
秋晴れの コキアの丘にひとり立ち 太平洋を独り占めする ― 鈴木政明 【現代訳】 秋晴れの日、コキアの紅葉する丘に一人で立っていると、まるで太平洋を独り占めしているような気持ちになるなあ。 心に咲く花 2023年70回…
開拓地の 薬草サフラン摘むという 勤労奉仕の一日ありき ― 鳥海昭子(とりのうみあきこ) 【現代訳】 開拓地に生えている、「薬草」として知られた【サフラン】を摘むという勤労奉仕をした一日が、私の人生にありました。 心に…
くきやかに伸びつついまはわが丈を ゆたかにこえて鶏頭咲けり ― 若山牧水(わかやまぼくすい) 【現代訳】 くっきりと伸び、今は、我が背丈をすっかり超えて鶏頭の花が咲いている。 心に咲く花 2023年68回 鶏頭(ケイト…
さ庭べにトマトを植ゑて幽(かす)かなる 花咲きたるをよろこぶ吾(われ)は ― 斎藤茂吉(さいとうもきち) 【現代訳】 庭にトマトを植えてある。小さくてかすかな花が咲いたのを私はとても喜んで見ている。 心に咲く花 202…
オリーブの銀の裏葉の返るまで 立ちて待ちをり次吹く風を ― 今泉由利(いまいずみゆり) 【現代訳】 オリーブの銀色に輝く裏葉が再び返るまで、次に吹く風を立って待っていた。 心に咲く花 2023年66回 オリーブ 作者は…
野茨をりて髪にもかざし手にもとり 永き日野辺に君待ちわびぬ ― 与謝野晶子(よさのあきこ) 【現代訳】 野茨を手折り、髪にかざしたり、手にも取ったりしながら、長い時間、野辺であなたを待ちわびていた。 心に咲く花 202…
幾年(いくとせ)も共に仰ぎしジャカランダ ことし吹雪てわれを被いぬ ― 冷順子 【現代訳】 何年もともに過ごし、ずっと一緒に仰いできたジャカランダが今年も咲いている。今年は一人で見上げるジャカランダ。その花吹雪が励ます…
ウインドに春の濡れ雪ふりかかり 幻のごとアマリリス匂ふ ― 加藤克巳(かとうかつみ) 【現代訳】 窓辺に春の濡れ雪がふりかかる。 そんな中、まるで幻のように幻想的に美しいアマリリスが咲き薫っている。 心に咲く花 202…
とさみづき芽はいち早し春浅き 屋後(おくご)の雪の片傍(かたそば)に萌ゆ ― 木俣修(きまたおさむ) 【現代訳】 土佐水木はまだ春浅い時期からいち早く芽吹き、家の裏の雪降る片はしにもすでに萌え始めている。 心に咲く花 …