心に咲く花 82回 藍の花
わが恋は あひそめてこそまさりけれ 飾磨(しかま)の褐(かち)の 色ならねども ― 藤原道隆 【現代訳】 私の恋はあなたに逢い染めてから、ますます深くなっていったことだ。藍染めで名高い飾磨(しかま)の褐色ではないけれど…
わが恋は あひそめてこそまさりけれ 飾磨(しかま)の褐(かち)の 色ならねども ― 藤原道隆 【現代訳】 私の恋はあなたに逢い染めてから、ますます深くなっていったことだ。藍染めで名高い飾磨(しかま)の褐色ではないけれど…
喧嘩ってつまんないから ドアノブに マリーゴールド掛けて帰るね ― 仙台高等学校二年 佐藤文菜 【現代訳】 喧嘩していてもつまらないから、ドアノブにマリーゴールドを掛けて帰るよ。 また今度、一緒に遊ぼう。 心に咲く花 …
稲の花咲くべくなりて 白雲は 幾重の上にすぢに棚びく ― 斎藤茂吉(さいとうもきち) 【現代訳】 稲の花が咲く時期となり、白雲は幾重にも連なって、横に長く続いている。 心に咲く花 2024年80回 稲の花 神話の時代か…
向じ家の南瓜の花は 屋根をこえて 延び来るかな黄の花を向けて ― 島木赤彦(しまきあかひこ) 【現代訳】 向こうの家の南瓜の花は元気がよく、 屋根をこえて、こちらにまで延びてきているなあ。黄色い花を向けながら。 心に咲…
夕かげの 庭のおくかの隅深く 片あかりして 夾竹桃はある ― 釈迢空(しゃくちょうくう) 【現代訳】 夕かげの庭の奥まったところに、ほのかなあかりのような「夾竹桃」が咲いている。 心に咲く花 2024年78回 夾竹桃(…
橘の香をなつかしみ ほととぎす 花散る里を訪ねてぞとふ ― 紫式部『源氏物語』より 【現代訳】 昔の人を思い出させる花橘の香りがなつかしく、ほととぎすは花橘の散っているこの邸宅にやって来たのです。 心に咲く花 2024…
月桂樹を ていねいに剪(き)る 夫(つま)の手を 赤き夕陽がぬくめつつある ― 細野悦子 【現代訳】 月桂樹の葉を丁寧に剪定している夫。その手を真っ赤な夕陽があたためてくれている。 心に咲く花 2024年76回 月桂樹…
雑草の二人静は悲しけれ 一つ咲くより 花咲かぬより ― 与謝野晶子 【現代訳】 二人静が咲いている。二本の花穂が伸び、小さな白い花を咲かせる二人静。雑草のように野の道にあって、向き合うように並び咲く二人静は、一つだけ咲…
残る生を心つくして生きたしと 思ひ深むるミモザの下に ― 長井隆子 【現代訳】 あとどれくらい余生があるのかわからないけれど、残りの人生、心を尽くしていきたい。そんな思いが深まっていく、鮮やかな花を咲かせるミモザの下に…
故郷を離れし友に送るべく 花山葵(はなわさび)摘み漬物にせん ― 飯田富子 【現代訳】 郷里の伊豆市を離れた友達に、ふるさとの清流で育った花山葵の漬物をつくって、贈ってあげよう。 心に咲く花 2024年73回 山葵(わ…