心に咲く花 35回 吉祥草(キチジョウソウ)
草深く 花はかくれて 咲きいたり キチジョウソウの 薄いむらさき― 鳥海昭子 【現代訳】 草深い場所に吉祥草の花が隠れるように咲いている。咲いた家に幸運をもたらすという伝承のある、淡紫色の吉祥草の花よ。 心に咲く花 20…
草深く 花はかくれて 咲きいたり キチジョウソウの 薄いむらさき― 鳥海昭子 【現代訳】 草深い場所に吉祥草の花が隠れるように咲いている。咲いた家に幸運をもたらすという伝承のある、淡紫色の吉祥草の花よ。 心に咲く花 20…
嫁ぐ日の子の白無垢は忘れえず 天空までのそばの花見ゆ― 山本明子 【現代訳】 嫁いでいった日の娘の白無垢は忘れることができない。まるで天空までつながっているような純白色の蕎麦の花が見えたあの日。 心に咲く花 2020年3…
偶然(わくらば)に 子が採り来しとふ 望(もち)の夜の すすきに添へて 吾亦紅(われもこう)もあり― 田谷鋭(たやえい) 【現代訳】 たまたまこどもが摘んだという吾亦紅が、満月の夜、すすきとともに飾られている。 心に咲く…
恋するや 遠き国をば 思へるや このたそがれの 睡蓮の花― 与謝野晶子 【現代訳】 恋をしているのだろうか。どこか遠い国を思っているのだろうか。 この黄昏時に咲く睡蓮の花は・・。 心に咲く花 2020年32回 睡蓮(すい…
昼は咲き 夜は恋ひ寝る 合歓(ねむ)の花 君のみ見めや 戯奴(わけ)さへに見よ― 紀郎女(きのいらつめ) 【現代訳】 昼は咲いて夜は恋いつつ眠る合歓の花を私だけが見て楽しんでいてよいものだろうか。 あなたも一緒に見なさい…
夏の日はなつかしきかな こころよく 梔子(くちなし)の花 汗もちてちる― 北原白秋 【現代訳】 夏の日はなつかしいなあ。白くて香り豊かな「梔子の花」が、汗のような水分を含んで土に還ってゆくのを眺めていると。 心に咲く花 …
自然や四季が育んだ美しい日本語は 世界に誇るべき私たちの宝ものです。 今回のゲストは、作家であり歌人でもあり作詞家でありと、日本語のプロ、言葉の専門家として幅広く活躍されている田中章義さん。赤塚社長とも旧知の間柄。旧交を…
みづからの 光のごとき 明るさを ささげて咲けり くれなゐの薔薇― 佐藤佐太郎 【現代訳】 自らがもつ光のような明るさをささげながら、真紅の薔薇が咲いているなあ。 心に咲く花 2020年29回 薔薇(バラ) 正岡子規の「…
一生は 守ってやれない 孫たちに シロツメクサの 髪飾り編む― 畠山みな子 【現代訳】 かわいい孫たちと過ごす時間。けれどもどんなにずっとそばにいたくてもそれはかなわない。一生守ってあげることはできない孫たちに、それでも…
連翹の 花のたわみを とびこえて 啼くうぐひすの 時にちかづく― 太田水穂 【現代訳】 連翹の黄色い花がたわわに咲くところをとびこえて、うぐいすが時々近づいてくる。「春告鳥」とも呼ばれる、その啼き声を聞かせながら・・。 …