心に咲く花 55回 日日草(にちにちそう)
集い来て よく笑いたる子らなりき ニチニチソウが咲けば想えり ― 鳥海昭子(とりのうみあきこ) 【現代訳】 集まって来て、よく笑う可愛い子どもたちだったなあ。夏の日差しの中で、日日草が元気に咲いているのを見れば、ふと想…
集い来て よく笑いたる子らなりき ニチニチソウが咲けば想えり ― 鳥海昭子(とりのうみあきこ) 【現代訳】 集まって来て、よく笑う可愛い子どもたちだったなあ。夏の日差しの中で、日日草が元気に咲いているのを見れば、ふと想…
げんのしょうこ ほのかなる香の甘ければ 今日も煎じて枕べに置く ― 小市已世司(こいちみよし) 【現代訳】 古来、民間生薬として知られた「げんのしょうこ」。ほのかな香りが甘く優しいので、今日も煎じて、枕辺に置いている。…
店明かりのやうに色づく枇杷の実の ここも誰かのふるさとである ― 山下翔(しょう) 【現代訳】 まるで店の明かりのように、燈(とも)るように色づいている枇杷の実。ここも誰かにとっての「ふるさと」なのだと思わせてくれる。…
チューリップ 心の中で咲くときは 初恋の子の顔よみがえる ― 守屋聡史 【現代訳】 「♪咲いた咲いたチューリップの花が……」の童謡もあるチューリップ。そんなチューリップが心の中で咲いたとき、ふと思い出すのは初恋のあの子…
時すぎて 過ぎたる時は 還(かえ)らねど みつまたの黄の 花を見に来よ ― 成瀬有 【現代訳】 時は流れ去り、過ぎ去った時間は決して還(かえ)ることはないけれど、『万葉集』の時代から詠まれ、「永遠の愛」や「肉親の絆」と…
水の辺(べ)の 馬酔木の若木 小さけれど ほのかに群れて 花つけむとす ― 北原白秋 【現代訳】 水辺に馬酔木の若木がある。まだ小さいけれども春の到来を告げるように、ほのかに仲良く群れて今まさに花を咲かせようとしている…
「クロッカスが咲きました」 という書きだしで ふいに手紙が書きたくなりぬ ― 俵万智(たわらまち) 【現代訳】 まだ寒いと思っていた早春の大地に思いがけず、クロッカスが咲いている。季節からの贈りもの。ふいに「クロッカス…
冷え冷えと 霙(みぞれ)が洗ふ 戸の外の 明るさ占めて 葉牡丹はあり ― 木俣修(きまたおさむ) 【現代訳】 冷え冷えと霙(みぞれ)が降るような寒い戸の外でも葉牡丹は鮮やかに色づいている。花かと見違えるほどに明るく庭を…
枸杞(くこ)の実の あけのにほへる 冬の野に 山より小鳥 くだりて鳴くも ― 斉藤茂吉 【現代訳】 枸杞の実の朱色が美しい冬の野に、山から小鳥がやって来て、鳴いていることだなあ。 心に咲く花 2022年47回 枸杞(ク…
やどりせし 人のかたみか 藤袴 わすられがたき 香ににほひつつ ― 紀貫之 【現代訳】 我が家に泊まっていったあの人の形見なのだろうか。 藤袴の花が咲き、忘れ難い香りに包まれていて・・。 心に咲く花 2021年46回 …