心に咲く花 75回 二人静(ふたりしずか)
雑草の二人静は悲しけれ 一つ咲くより 花咲かぬより ― 与謝野晶子 【現代訳】 二人静が咲いている。二本の花穂が伸び、小さな白い花を咲かせる二人静。雑草のように野の道にあって、向き合うように並び咲く二人静は、一つだけ咲…
雑草の二人静は悲しけれ 一つ咲くより 花咲かぬより ― 与謝野晶子 【現代訳】 二人静が咲いている。二本の花穂が伸び、小さな白い花を咲かせる二人静。雑草のように野の道にあって、向き合うように並び咲く二人静は、一つだけ咲…
残る生を心つくして生きたしと 思ひ深むるミモザの下に ― 長井隆子 【現代訳】 あとどれくらい余生があるのかわからないけれど、残りの人生、心を尽くしていきたい。そんな思いが深まっていく、鮮やかな花を咲かせるミモザの下に…
故郷を離れし友に送るべく 花山葵(はなわさび)摘み漬物にせん ― 飯田富子 【現代訳】 郷里の伊豆市を離れた友達に、ふるさとの清流で育った花山葵の漬物をつくって、贈ってあげよう。 心に咲く花 2024年73回 山葵(わ…
除夜の灯(ひ)の仄(ほの)かに及ぶ 花舗(かほ)の隅に 凍(い)てつつ開く雪割草の花 ― 山崎孝子 【現代訳】 除夜のあかりのほのかに灯る花屋の隅で、凍(こご)えながらも花を咲かせる可憐な雪割草よ。 心に咲く花 202…
いにしへに恋ふる鳥かも 弓絃葉(ゆずるは)の 御井(みい)の上より鳴き渡りゆく ― 弓削皇子 【現代訳】 昔を偲んでいる鳥なのでしょうか。ゆずり葉の泉の上を鳴き渡って行くところをみると‥。 心に咲く花 2024年71回…
秋晴れの コキアの丘にひとり立ち 太平洋を独り占めする ― 鈴木政明 【現代訳】 秋晴れの日、コキアの紅葉する丘に一人で立っていると、まるで太平洋を独り占めしているような気持ちになるなあ。 心に咲く花 2023年70回…
開拓地の 薬草サフラン摘むという 勤労奉仕の一日ありき ― 鳥海昭子(とりのうみあきこ) 【現代訳】 開拓地に生えている、「薬草」として知られた【サフラン】を摘むという勤労奉仕をした一日が、私の人生にありました。 心に…
くきやかに伸びつついまはわが丈を ゆたかにこえて鶏頭咲けり ― 若山牧水(わかやまぼくすい) 【現代訳】 くっきりと伸び、今は、我が背丈をすっかり超えて鶏頭の花が咲いている。 心に咲く花 2023年68回 鶏頭(ケイト…
さ庭べにトマトを植ゑて幽(かす)かなる 花咲きたるをよろこぶ吾(われ)は ― 斎藤茂吉(さいとうもきち) 【現代訳】 庭にトマトを植えてある。小さくてかすかな花が咲いたのを私はとても喜んで見ている。 心に咲く花 202…
オリーブの銀の裏葉の返るまで 立ちて待ちをり次吹く風を ― 今泉由利(いまいずみゆり) 【現代訳】 オリーブの銀色に輝く裏葉が再び返るまで、次に吹く風を立って待っていた。 心に咲く花 2023年66回 オリーブ 作者は…