<赤塚植物園グループとSDGs>
園芸を通じた取り組み(㈱赤塚植物園)
「一人の健康から地球の未来まで」
赤塚植物園グループは1961年の創業から2021年で60周年。株式会社 赤塚植物園は園芸植物関連の事業とともに1984年に開発された「水の機能を高める技術」FFCテクノロジーを活用し、花と緑と水で「一人の健康から地球の未来まで」をテーマに、園芸植物の育種、輸入、生産、販売、観光ガーデンの管理運営などを展開しています。
事業内容とステークホルダーは多岐にわたり、社会の中での弊社の位置づけやSDGs達成に向けた事業プロセスを可視化し、社員一人ひとりが取り組みに参加しやすい環境を整えています。
観光ガーデンで地域を元気に
弊社オリジナルのシャクナゲやクリスマスローズ、400品種以上1500株のバラ、22本の藤の名木などが植えられている里山庭園 「レッドヒル ヒーサーの森」をはじめとするいくつかの観光ガーデンでは、ウォーキングや緑の癒し効果で利用者に心と体の元気を提供しています(3.4非感染性疾病の予防)。
森の中でクラシックコンサートやヨガ教室、森林セラピストと同行するツアーを開催するなど、観光ガーデンの機能を最大に活用。2020年は、コロナ禍でも安全に楽しめるオープンスペースとして「レッドヒル ヒーサーの森」の無料開園日を春と秋に合計29日間設け(例年は年間で3日程度)、約4万人の方にご利用いただきました。
また、日本の伝統園芸文化のしだれ梅の仕立て技術の存続と普及を目的とする研究栽培農園「鈴鹿の森庭園」には、例年2~3月の1ヵ月ほどの開園時期に数万人が訪れます。このように観光ガーデンの集客力で、地域経済の活性化にも貢献しています(8.5生産的な雇用)。
パートナーシップで業界に貢献
業界内外問わず、大学や他企業様とのパートナーシップを促進し、SDGsの達成や新しい事業展開による園芸業界全体の発展を目指しています。
例えば、弊社で育種開発、栽培された日本最大級の食用花「エディブルタイタンビカス」の栄養面や機能面について三重大学と共同研究を進め、同時に県内外のホテルや食品加工会社とともにメニュー開発を進めています(3.4非感染性疾病の予防)。
また、弊社の生産部門では、資源を可能な限り抑える栽培方法も検証しています。エディブルタイタンビカスは栽培時期が5~9月に限られるため、栽培のために新たなインフラを設けるのではなく、この時期に使用されていない温室を地元企業から借りるなどの工夫もしています(13.3気候変動の緩和)。
赤塚植物園オンラインショップ「花の音」などを運用する通信販売部は、産地から消費者への直送による輸送の最適化を行いつつ(9.4資源利用効率の向上)、地域の緑化事業も共同で推進しています(11.a利用が容易な緑地)。
環境教育にも、外部との関わりが欠かせません。「レッドヒル ヒーサーの森」では、近隣の大学や高校、教育委員会と連携して、園内の植物を使用した二酸化炭素吸収の測定など様々な環境学習セミナーを行い、三重県下の高校生や津市内の小中学生の環境に対する意識向上につなげています。
また、2001年から「レインボープレゼント」の愛称で、地域の小学校や支援学校60校以上に色とりどりのチューリップの球根をプレゼントしてきました。昨年までの20年間で、累計43万球以上の球根を贈呈し、子どもたちへ植物の栽培を通した学びの機会を提供しています。
開花を短縮し資源を削減
弊社オリジナル品種は植物ごと毎年数十パターン交配し、数千本の苗が育てられます。中には交配から4~5年後に花をつけるものもあり、この間の管理には多くの資源が費やされます。そこで開花までの期間を短くしようと試みたところ、種類によっては最大で2年も短縮できました(9.4資源利用効率の向上)。この技術により、多数の交配パターンの中から優良株を効率的に選抜し、少しでも早く販売につなげるという経営的なアドバンテージも得られています。
SDGsとコロナ対応の両立を
園芸売店「FFCパビリオン」では、年間約80回の園芸教室を開催しています。販促はもちろんですが、正しい園芸の知識や植物を育てるコツを発信することで、お客様が植物を育てる中での環境負荷を低減させることも目的です(12.8自然と調和したライフスタイルに関する情報)。昨年はコロナ対策で定員を50%減らしたりオンラインショップで園芸教室の教材と動画をセットで販売するなどの工夫をしました。また、室内環境改善効果や癒しの効果は知られる観葉植物の販売を強化、おうち時間に癒やしや楽しみを提供しています(3.4精神保健の促進)。
営業部では紙資源の節約のために、カタログの部数を前年の1/3に削減しました(13.3気候変動の緩和)。代わりに弊社ウェブサイト上にカタログと販促用POPデータを掲載。昨今では対面での営業が難しいですが、IT化で非接触の営業を遠方まで行えるようになりました。
これまでSDGsのために取り組んできたことが、コロナ対応にもつながっています。
近年、人々のライフスタイルや消費行動、人権や環境に対する意識などが大きく変化し、新型コロナウイルス感染拡大により、さらに劇的な変化が起こっています。短い時間軸だけでなく、長い時間軸で見たときにも消費者をはじめとしたステークホルダーの支持が得られるように、SDGs達成を含め、様々な取り組みが各企業に求められていると感じています。
※以上、(株)グリーン情報発行『グリーン情報』2021年5-6月号に掲載された内容を一部編集。