秋から冬のお漬物

星澤幸子の和食のチカラ 2024年11月- 12月 秋から冬のお漬物


日本の伝統食、漬物をもっと食卓に

日本の伝統的な食品であるお漬物。一説によると縄文時代には、すでに野菜の皮を塩漬けにしていたそうです。また、天平時代(西暦700年代)の木簡には「ウリの塩漬け」という言葉があるそうですから、その歴史の長さを考えるとまさに日本人のソウルフードと言える存在です。冷蔵庫のない時代、私たちの先人の知恵が凝縮した素晴らしい保存食だったのです。

近年は、塩分の摂りすぎや作る手間を嫌って、敬遠する人も増えているそうですが、その一方で自宅にぬか床を置き、ぬか漬けを食卓に取り入れる若い世代の人たちも増えていると聞きます。

塩漬けやぬか漬け以外にも、味噌や醤油、お酢や麹や酒粕などさまざまな発酵によってできたものがお漬物に使用されています。また、歴史ある食品だけに、それぞれの地方によって、その気候や風土にあった漬物がバリエーション豊かに存在します。秋田県の「いぶりがっこ」や長野県の「野沢菜漬け」、奈良県の「奈良漬け」など、地方の特産品として、お土産に重宝される漬物も数多くあります。
鹿児島県では、ラーメン屋さんに入ると、まずは漬物が出てきて驚きます。「おもてなし」の意味があるとのことでしたが、脂っこいラーメンの食前にベジファーストという意味でも素晴らしいなと感心しました。

今回は、お酢を使って手軽にできる漬物をご紹介します。お酢には、血糖値の上昇を抑えたり、内臓脂肪を減少させたり、血圧を下げたりといった健康効果があるので、体も喜ぶレシピです。

まずは「大根のレモン漬け」。お酢とレモンの風味にトウガラシのピリッとした辛さがアクセントになって、ご飯のお供に最適です。もう一つは、カレー風味のひと味違ったピクルス「秋冬のピクルス」です。長イモやセロリ、ゴボウ、ニンジンなどいろいろな野菜が摂れて、トーストにコーヒーといった朝食にも相性抜群のレシピです。

ビタミン類をはじめ野菜の栄養成分を、しっかり摂れるという意味でも、そして発酵による漬物については、乳酸菌をはじめとする腸にいい善玉菌を摂り入れることができるという意味でも、もっともっと漬物を食卓に取り入れてほしいと思います。

このページでご紹介するレシピ


お酢とレモンの酸味で爽やかな口当たり
大根のレモン漬け

【材料】(作りやすい分量)

大根(正味)  1㎏
レモン 2個
たかのつめ 1本
塩 小さじ2杯

【調味料】
酢 80ml
てんさい糖 50g
パイロゲン キャップ1杯(約5.5ml)

【作り方】

  1. 大根は皮をむいてスライサーで2~3ミリ厚さの薄切りにします。
  2. 大根に塩をまぶし、ポリ袋に入れて軽めの重石をして1時間ほど置きます。出た水分は捨てます。
  3. レモンは2~3ミリの輪切りにして、種を取ります。たかのつめは種を取って輪切りにします。調味料は合わせておきます。
  4. ポリ袋に入れた大根のところどころにレモンをはさみます。ポリ袋に調味料を入れて空気を抜いてしばり、半日ほど漬けます。
  5. 冷蔵庫で1週間は美味しくいただけます。

大根はスライサーで2~3ミリの厚さで薄切りに。

大根に塩をまぶしたら、軽めの重しをして1時間置く。

調味料をすべて合わせて、その仕上げにパイロゲンを。

大根の間にレモンの輪切りを挟んで、さらにたかのつめを入れ、そこに調味液を注いで、ポリ袋から空気を抜く。

カレー風味の甘酢が食欲をそそる
秋冬のピクルス

【材料】(作りやすい分量)

ご飯 2膳
長いも 100g
セロリ 1本
キュウリ 1本
ニンジン 小1本
ゴボウ 小1本
レーズン 大さじ2杯
塩 少々

【カレー風味甘酢】
水 カップ1/2杯
酢 カップ1杯
カレー粉 大さじ1杯
てんさい糖 大さじ3杯
塩 小さじ1杯
パイロゲン キャップ1杯(約5.5ml)

【作り方】

  1. 長イモ、セロリは皮をむき、キュウリは塩で板ずりしてそれぞれひと口大に切ります。ニンジン、ゴボウは皮をこすり洗いして小さめのひと口大に切り、ゴボウは水に浸して何度も水を替えてあく抜きします。
  2. 鍋に水以外の調味料を入れて火にかけ、てんさい糖が溶けたら火からおろし、分量の水とパイロゲンを加えます。
  3. 鍋に湯を沸かして塩を入れ、長イモ、セロリ、キュウリ、レーズンの順にサッと湯通し、取り出してから、ゴボウ、ニンジンの順に茹でます。
  4. 材料が熱いうちに瓶や保存容器に入れ、浸る程度にカレー甘酢を注いで最低3~4時間漬けます。
  5. そのまま冷蔵庫で一週間は美味しくいただけます。

野菜をそれぞれ切りそろえておく。ゴボウは水にさらしてあく抜きを。

調味料を合わせて火にかけ、仕上げにはパイロゲン。

野菜は軽く湯通しするものと、茹でるものがあります。

野菜がまだ熱いうちに保存容器に入れ、カレー甘酢を注ぎ入れる。


星澤幸子(ほしざわ さちこ)さん

料理研究家。北海道南富良野町生まれ。札幌テレビ「どさんこワイド」の料理コーナー「奥様ここでもう一品」に25年毎日出演し、北海道の素材にこだわったお手軽な料理を紹介。その出演回数は現在もギネス記録を更新中。2009年「東久邇宮文化勲章」を受賞。著書は『あなたに贈る食の玉手箱』(ワニ・プラス)他多数。

星澤クッキングスタジオ公式サイト
http://www.hoshizawa-s.com