冬のごちそう、鍋料理で家族そろって食卓を囲もう

星澤幸子の和食のチカラ 2024年1月- 2月 鍋料理


家族がいたとしても、食事は一人で摂る「孤食」という言葉が生まれて久しいと思います。家族がバラバラ、違うメニューを食べる「個食」という言葉もあるようです。

子どもは塾で帰りが遅い、両親は仕事で帰りが遅いなど、それぞれの事情があって一家そろっての食事が難しくなっていること、孤食にならざるを得ないという単身世帯が増えていること・・・。さらに電子レンジの普及で、簡単に温めなおすことが可能になったことなど、理由はさまざま考えられますが、私はやはり家族で、コミュニケーションを取りながら食卓を囲むことが大切だと考えています。

その際、重宝するのが鍋料理です。たんぱく質やビタミン類、ミネラル類、食物繊維も摂れる鍋料理は栄養バランスに優れていますし、調理は下ごしらえのみ、食器も少なくてすむので後片付けも簡単です。そのメリットは、一人暮らしの方にとっての一人鍋にも当てはまります。

鍋料理が一般家庭の食卓に普及したのは、明治に入ってからだそうですが、今や、全国各地に名物鍋料理が存在します。北海道の石狩鍋、秋田のきりたんぽ鍋、広島のカキの土手鍋、福岡の鶏の水炊きやホルモン鍋など、地元の有名食材を取り入れた鍋料理が目白押しです。

また、ご家庭でも、しゃぶしゃぶ、すき焼き、水炊き、湯豆腐、寄せ鍋などいろいろな鍋料理をお楽しみのことと思います。

今回は、いつものご自宅鍋料理とは一風変わった二つのレシピをご紹介しましょう。柚子の風味で爽やかな「揚げ餅と鶏ごぼうの柚子鍋」と海の幸を使った「海鮮キムチ鍋」。どちらも美味、そして栄養満点です。

寒い冬を健康に乗り切るため、せめて、週に一度は鍋料理で家族そろって食卓を囲みませんか。レシピの分量を半分にすると、お一人鍋でも楽しめます。

このページでご紹介するレシピ


柚子の風味でさっぱりといただけます
揚げ餅と鶏ごぼうの柚子鍋

【材料】(2人分)
鶏モモ肉 1枚/ゴボウ 150g/つきこんにゃく 1袋/ゴマ油 大さじ1杯/餅 2個/揚げ油 適量/水 カップ3杯

【調味料】
しょうゆ 大さじ4杯/みりん 大さじ3杯/パイロゲン キャップ1杯(5.5cc)/柚子 1玉/粗みじん切り唐辛子 少々

【作り方】

  1. 鶏モモ肉はひと口大に切ります。ゴボウはささがきにし、水で何度かすすいでアク抜きをします。餅もひと口大に切って、柚子は輪切りにしてタネを取ります。
  2. フライパンに揚げ油を入れ、揚げ餅を作ります。
  3. 鍋にゴマ油を熱して、鶏肉、ゴボウ、つきこんにゃくを入れて炒めます。材料に軽く火が通ったら、分量の水を加えて煮ます。
  4. 沸騰したらアクを丁寧に取り、調味料とパイロゲンを加えます。
  5. 材料に味が染みたら、揚げ餅、柚子の輪切りをのせて粗みじん切り唐辛子をふっていただきます。

ゴボウは何度か水ですすいでアク抜きを。

鶏モモ肉はひと口大に切っておく。

フライパンに揚げ油を入れ、餅を揚げておきます。

沸騰してアクを取ったあと、調味料とパイロゲンを加えます。

たまには海の幸でキムチ鍋はいかが
海鮮キムチ鍋

【材料】(2人分)
タラ 2切れ/塩、コショウ、片栗粉 各少々/有頭エビ 4尾/しらたき 1パック/ニラ 1袋/白ゴマ 大さじ1杯

【鍋つゆ】
干しシイタケ 2枚/シイタケの戻し汁+水 カップ2杯/塩辛 40g/キムチ漬け 100g/しょう油、酒 各大さじ1杯/パプリカ粉 大さじ2杯/塩 ふたつまみ/ゴマ油 大さじ1杯

【作り方】

  1. タラは一口大に切り、塩、コショウをして片栗粉をまぶします。しらたきは水切りして食べやすい長さに切ります。ニラは水に放してパリッとさせて3~4cmの長さに切ります。干しシイタケは水で戻して千切りにしておきます。
  2. 鍋にゴマ油、塩辛、キムチ漬け、干しシイタケを入れて炒めます。
  3. シイタケの戻し汁と水を合わせて分量にし、鍋に入れます。調味料とパプリカ粉、パイロゲン(5.5cc)を加え、タラ、有頭エビ、白菜、しらたきを入れて、材料に火が通ったらニラをのせて、半ずりにした白ゴマを加えていただきます。

ポリ袋を使ってタラに片栗粉をまぶしておきます。

まず、塩辛、キムチ漬け、干しシイタケをゴマ油で炒めます。

調味料を入れるタイミングでパイロゲンを。


星澤幸子(ほしざわ さちこ)さん

料理研究家。北海道南富良野町生まれ。札幌テレビ「どさんこワイド」の料理コーナー「奥様ここでもう一品」に25年毎日出演し、北海道の素材にこだわったお手軽な料理を紹介。その出演回数は現在もギネス記録を更新中。2009年「東久邇宮文化勲章」を受賞。著書は『あなたに贈る食の玉手箱』(ワニ・プラス)他多数。

星澤クッキングスタジオ公式サイト
http://www.hoshizawa-s.com


レシピ撮影/大滝恭昌