星澤幸子の和食のチカラ 2023年12月-2024年1月 鮭
東日本ではお歳暮や新年の贈答品として、新巻鮭(荒巻鮭)が大切にされてきました。これは、白鮭(シロサケ)のエラや内臓を取り除き、塩をすり込んでさらに塩抜きした後に乾燥させた保存食です。こうして余分な水分が抜けて旨味が増した鮭を焼けば、まさにご飯のベストパートナー。朝食に、おにぎりに、お茶漬けに欠かせない、日本を代表する味覚です。
ただ、最近では一尾まるごとの新巻鮭を贈ることも、目にすることも少なくなってきたと感じます。冬の風物詩だっただけにちょっと残念な気もします。
鮭はノルウェーやチリからの輸入もの、養殖ものも増えましたが、国内での漁獲高はダントツで北海道がトップ。ちゃんちゃん焼きや石狩鍋といったお料理に代表されるように、北海道では最もポピュラーな秋から冬にかけてのお魚です。
ちなみに、西日本でお正月のお魚と言えばブリが一般的で、出世魚であることから縁起がいいとされているそうですね。
栄養面でもとても優れている鮭。豊富なたんぱく質やDHAやEPAといった不飽和脂肪酸、ビタミン類や抗酸化物質であるアスタキサンチンが含まれているヘルシーな食材です。古くからみんなに愛され、食されてきたこともうなずけます。
焼き魚としての鮭は、日本の朝食の定番ですが、今回は洋風のレシピ「鮭のチーズパイ包み」と「鮭の彩りマリネ」を紹介しましょう。どちらも、大人からお子さんまで楽しめる、食卓を華やかにするメニューです。冬の食卓を、栄養満点の鮭のレシピで彩ってください。
鮭とチーズとタマネギの相性が抜群のお食事パイ
鮭のチーズパイ包み
【材料】(2人分)
薄塩鮭 2切れ
コショウ、酒 各少々
パイロゲン キャップ1杯(約5.5ml)
玉ネギ 1/2個
パセリみじん切り 大さじ2杯
シュレッドチーズ 30g
冷凍パイ生地 1枚
卵黄 1個
みりん 少々
【作り方】
- 鮭は骨を取って、ひと口大に切り、パイロゲンとコショウと酒をまぶしておきます。
- タマネギはごく薄い千切りにしてパセリ、シュレッドチーズと混ぜておきます。
- 解凍したパイ生地を半分に切ってからラップに挟んでのばします。❷を2つに分け、のばしたパイ生地の上に鮭を挟むようにのせます。生地を折り畳み、フォークでしっかりふちを押さえて閉じます。
- パイ全体にフォークで穴を開けて、卵黄とみりんを混ぜてパイ生地に塗ります。
- オーブントースターを予熱してからクッキングシートを敷いた天板にパイをのせて入れ、高温で10分、焼き色がついたらアルミホイルをかぶせてさらに鮭の香りが立つまで、合計20分ほど焼きます。
彩り鮮やかで栄養満点の鮭の前菜
鮭の彩りマリネ
【材料】(2人分)
塩鮭 2切れ
酒、小麦粉 各少々
ニンジン 20g
玉ネギ 1/2個
ピーマン 1個
油 大さじ1杯
パイロゲン キャップ1杯(約5.5ml)
【調味料】
しょうゆ、酢、酒 各大さじ1杯
てんさい糖 小さじ1杯
粗みじん唐辛子 少々
【作り方】
- 塩鮭に酒を振りかけ、しばらくおいてから、小麦粉をまぶします。野菜は千切りにし、調味料は合わせておきます。
- フライパンに少し多めの油を熱し、鮭の両面をカリっと焼いて取り出します。切った野菜を入れて軽く火が通ったら、調味料とパイロゲンを加えて全体に絡めます。
- 器に盛った鮭に❷をかけます。
星澤幸子(ほしざわ さちこ)さん
料理研究家。北海道南富良野町生まれ。札幌テレビ「どさんこワイド」の料理コーナー「奥様ここでもう一品」に25年毎日出演し、北海道の素材にこだわったお手軽な料理を紹介。その出演回数は現在もギネス記録を更新中。2009年「東久邇宮文化勲章」を受賞。著書は『あなたに贈る食の玉手箱』(ワニ・プラス)他多数。
星澤クッキングスタジオ公式サイト
http://www.hoshizawa-s.com
レシピ撮影/大滝恭昌