星澤幸子の和食のチカラ 2023年9月-10月 秋のお菓子
ようやく秋の気配が感じられる時期になりました。地球の温暖化の影響でしょうか。四季の移ろいを感じられることが、日本に暮らす私たちにとっては素晴らしい特権でしたが、今や5月下旬から10月初旬までは夏日が続き、春と秋がとても短くなったと感じているのは私だけはないと思います。そんな貴重な秋のティータイムを楽しんでもらえるように、今回は手作りお菓子のレシピをご紹介しましょう。
まずは、「ダッチベイビー」というドイツ風の新食感のパンケーキ。フライパンではなく、オーブンで焼くのが特徴です。中はふわふわでもっちりなのに、外はサクサク。この食感に魅了される方も多いと思います。ドイツで生まれたスイーツですが、アメリカ・シアトルのレストランで提供されるようになって人気に火が付いたと言われています。
スキレットを使っているので、そのまま食卓に出せるのも魅力的です。今回はリンゴを使っていますが、それ以外のフルーツ、あるいは野菜やハムなどをのせて朝食代わりにいただくのもおすすめです。
次にご紹介するのは、フランスパンの一種、バタールを使ったお菓子です。バタールはバゲットと生地の重さは同じですが、より太くて短いのが特徴。長さはだいたい40㎝で、日本で好まれているフランスパンです。そのバタールにサツマイモとようかんという和のスイーツの主役たちを詰め込んだ、“日仏合作”のお菓子です。
材料の分量をキッチリ計る必要があるなど、お菓子作りは大変で面倒とお考えの方も、今回のレシピは簡単でしかも美味しいですので、ぜひお気軽に挑戦してみてはいかがでしょう。
このページでご紹介するレシピ
外はサクサク、中はもっちりの食感が新鮮
ドイツ風パンケーキ(ダッチベイビー)
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【材料】(内径15cmスキレット1つ分)
小麦粉 40g/牛乳 50ml/卵 1個/バター 大さじ1/2杯/塩 ひとつまみ/リンゴ 1個/てんさい糖 大さじ2杯/レモンの絞り汁 1/2個分/パイロゲン 大さじ1/2杯/シナモン 小さじ1/4杯/バニラアイス 50g/粉糖 適量
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【作り方】
- ボウルに小麦粉、牛乳、卵、塩ひとつまみを入れて良く混ぜます。スキレットはオーブントースターに入れて空焼きをし、十分に温めておきます。
- 温めたスキレットにバターを溶かし、生地を全て入れ、オーブントースターで20分ほど焼きます。
- リンゴは1.5cm角に切ります。別の鍋に、切ったリンゴとてんさい糖、レモンの絞り汁、パイロゲン、シナモンを入れて、時々混ぜながら5分ほど炒めます。
- 焼き上がった生地に③のリンゴをのせ、真ん中にバニラアイスをのせて、粉糖をあしらいます。
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あらかじめ熱しておいたスキレットにバターを溶かします。
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バターを溶かしたら、すべての生地を流し入れましょう。
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リンゴを炒める前にパイロゲンを忘れずに。
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オーブントースターで焼きあがったパンケーキの外はサクサクに。
小腹がすいた時のおやつにピッタリ
まるごとスイートロール
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【材料】(バタール1本分)
バタール(フランスパンの1種)1本/サツマイモ 300g/バター、てんさい糖 各大さじ2杯/パイロゲン 大さじ1杯/ようかん 80g/クルミ 30g
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【作り方】
- バタールは縦に1本切れ目を入れ、開いて手で押さえてくぼみをつくります。ようかんは1cm角に、クルミは香ばしく炒って粗く切ります。
- サツマイモは皮をむいて1cm厚さに切ってから少しの水で煮ます。火が通ったらバターとてんさい糖、パイロゲンを入れてつぶしながら混ぜ、粗熱が取れてから、ようかんとクルミを混ぜます。
- バタールを開き、サツマイモを均等に詰めて閉じます。
- 食べやすい厚さに切っていただきます。
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開いたバタールは、その中央を手で押さえてくぼみをつくる。
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火が通ったサツマイモに、バター、てんさい糖、さらにパイロゲンを。
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ようかんとクルミ入りのサツマイモをまんべんなく詰めます。
星澤幸子(ほしざわ さちこ)さん
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料理研究家。北海道南富良野町生まれ。札幌テレビ「どさんこワイド」の料理コーナー「奥様ここでもう一品」に25年毎日出演し、北海道の素材にこだわったお手軽な料理を紹介。その出演回数は現在もギネス記録を更新中。2009年「東久邇宮文化勲章」を受賞。著書は『あなたに贈る食の玉手箱』(ワニ・プラス)他多数。
星澤クッキングスタジオ公式サイト
http://www.hoshizawa-s.com
レシピ撮影/大滝恭昌