星澤幸子の和食のチカラ 2023年2月-3月 ひな祭りのお祝いメニュー
3月3日は桃の節句、ひな祭りです。本来は上巳(じょうし)の節句と言われますが、日本では旧暦の3月3日は桃の花が咲く時期でもあり、桃の節句と呼ばれるようになりました。
そもそも節句とは、季節の節目となる日のことで、もともと中国から伝わって奈良・平安時代に日本に定着したそうです。この日には様々な行事や宴会が行われるなど、私たちの先人が大切にしてきた節目の日です。
そして、たくさんあった節句のなかから、江戸幕府が祝日として5つを選び、それが五節句として今日まで伝わっています。
ちなみに、その5つとは、1月7日の人日(じんじつ、七草の節句)、3月3日の上巳(じょうし、桃の節句)、5月5日の端午(たんご、菖蒲の節句)、7月7日の七夕(しちせき、笹の節句)、9月9日の重陽(ちょうよう、菊の節句)。
それぞれに、無病息災や子どもの成長を祈る行事があり、その場には行事食がありました。
桃の節句では、ひな人形を飾って、女の子の健やかな成長と幸せを祈り、ひなあられや菱餅、ちらし寿司、ハマグリのお吸い物、白酒(甘酒)などでお祝いをします。
今回は、ちらし寿司の代わりに、春の行楽シーズンにも活躍するカニ(カニカマ)を使ったいなり寿司と、ハマグリの代わりにより手に入りやすいアサリを使ったかき卵汁を紹介します。
異常気象などの影響もあり、悲しいことに徐々に季節感が失われつつありますが、自然豊かな四季のある国に生まれた私たちですから、今こそ、先人たちが1000年以上もの長きにわたって大切にしてきた節目の日を、家族と手料理で祝ってみてはいかがでしょう。
いつもと違うちょっと贅沢いなり
カニいなり
【材料】(4人分)
カニかまぼこ(あればカニ缶) 1缶/ショウガ 1片/卵 1個/塩、みりん、油 各少々
枝豆 20粒
小揚げ 10枚/てんさい糖 大さじ5杯/しょうゆ 大さじ3杯/みりん 大さじ2杯/水 大さじ8杯
米 2合/酢 大さじ4杯/てんさい糖 大さじ2杯/塩 小さじ1杯/パイロゲン 赤キャップ1杯
付け合わせ 適量
【作り方】
- 米は炊く30分前に研いで2合分の水に浸します。調味料、パイロゲンを加えて炊き、炊き上がったらみじん切りにしたショウガを入れてすぐにヘラ返しして冷まします。
- 小揚げは横半分に切って、袋状に開いてから鍋に沸かした湯で湯通しします。湯を捨てて分量の水と調味料を入れ、落としブタをして10分程煮ます。フタを取って煮汁を飛ばし、ツヤが出たら火を止めて冷まします。
- ボウルに卵を割りほぐし、調味料を加えてよく混ぜます。フライパンに油を熱して卵液を入れ、炒り卵を作ります。
- 酢飯を20等分にして軽く握って小揚げに詰め、上に卵、枝豆、カニの身をあしらいます。
※以前もご説明しましたが、小揚げは北海道ではポピュラーな、いわば小さめの油揚げですが、手に入らない場合は、普通の油揚げをお使いください。
色鮮やか、アサリの旨味がうれしいカンタンお椀
アサリのかき卵汁
【材料】(2人分)
アサリ 200g/ショウガ 1片/パイロゲン 赤キャップ1杯/万能ネギ 少々/水 カップ2杯/酒 大さじ1杯/しょうゆ 小さじ1杯/塩 小さじ1/3杯/水溶き片栗粉 少々/卵 1個
【作り方】
- アサリは殻をこすり洗いして水に浸し、砂出しします。ショウガは千切り、万能ねぎは斜め薄切りにします。
- 鍋に分量の水にアサリとショウガ、パイロゲンを加え火にかけ、アサリの殻が開いたら調味料を加えて味を調えます。
- 水溶き片栗粉でとろみをつけてから溶き卵を全体に細く流して、軽く混ぜ、万能ネギをあしらいます。
星澤幸子(ほしざわ さちこ)さん
料理研究家。北海道南富良野町生まれ。札幌テレビ「どさんこワイド」の料理コーナー「奥様ここでもう一品」に25年毎日出演し、北海道の素材にこだわったお手軽な料理を紹介。その出演回数は現在もギネス記録を更新中。2009年「東久邇宮文化勲章」を受賞。著書は『あなたに贈る食の玉手箱』(ワニ・プラス)他多数。
星澤クッキングスタジオ公式サイト
http://www.hoshizawa-s.com
レシピ撮影/大滝恭昌