星澤幸子の和食のチカラ 2021年12月-2022年1月 鍋料理
冬の食卓で大活躍するのが鍋料理でしょう。どのご家庭でも「ウチの定番鍋」があるのではないかと思います。近年では、市販の鍋つゆやスープが重宝され、スーパーでは数多くのバリエーションのものが並んでいます。
お肉や魚介などのタンパク質と、食物繊維やビタミン豊富な野菜やキノコをバランスよく、しかもたくさん食べられるので、健康のためにもうれしいメニューです。食べ終わったあとの、洗いものが少なくて済むのもうれしいポイント。
鍋が美味しいのは、さまざまな食材の旨味成分が溶けあっているからでもあります。
海藻や野菜のグルタミン酸、かつお節や魚介類、肉類などに含まれるイノシン酸、干しシイタケなどに含まれるグアニル酸。それぞれ単独でも旨味があるのですが、グルタミン酸とイノシン酸、グルタミン酸とグアニル酸がそれぞれ組み合わさるとグンと旨味がアップします。出汁をとる際に、昆布とかつお節、昆布と干しシイタケと組み合わせるのはそんな理由からなのです。
今回はトマトジュースと魚介の洋風鍋、食べる直前にすりおろした長いもを入れる鶏つみれ鍋という、一味違う鍋レシピをご紹介します。市販のつゆを使わず、素材と調味料の旨味で味わうヘルシー鍋で、今宵は、笑顔溢れる家族団らんの食卓を演出してください。
今回もレシピに「小揚げ」が登場します。北海道ではポピュラーな、いわば小さめの油揚げですが、手に入らない場合は、油揚げなどで代用してください。
このページでご紹介するレシピ
トマトジュースで洋風海鮮鍋に
海鮮トマト鍋
【材料】(2~3人分)
タラ 300g/有頭エビ 3尾/アサリ 8個/タマネギ 1個/キャベツ 300g/生シイタケ 4個/油 大さじ1杯/塩、コショウ、片栗粉 各少々/酒、水 各大さじ3杯
トマトジュース(無塩) 1ℓ/かつお節 ひとつかみ/パイロゲン キャップ1杯
(お好みで、鍋のしめにラーメン)
【調味料】
しょうゆ、ウスターソース 各小さじ1杯/塩、コショウ 少々
【作り方】
- タラはひと口大に切り塩コショウをして片栗粉をまぶしておきます。有頭エビは爪楊枝で背ワタを取ります。アサリは砂出しをし、殻をこすり洗いをします。
- タマネギは1cm幅のくし切り、キャベツはひと口大、生シイタケはサッと洗って石づきを取り、斜め半分に切ります。
- 鍋に油を熱してタマネギを炒め、フタをして弱火で蒸し煮します。タマネギが透き通ったらタラ、エビ、アサリ、キャベツ、生シイタケの順に入れ、酒と水を加えてフタをして蒸し煮します。
- 材料に火が通ったらトマトジュース、細かくもんだかつお節、調味料、パイロゲンを入れて火にかけてひと煮たちさせていただきます。
※鍋のしめは、ラーメンがおススメです。
長いものすりおろしで味も栄養もワンランクアップ
もち巾着と鶏つみれの白鍋
【材料】(2~3人分)
小揚げ 4枚/もち 4切れ/鶏ひき肉 300g/大根 300g/ニンジン 60g/干しシイタケ 3枚/長いも 500g/しょうがのすりおろし 大さじ1杯/みそ 大さじ1杯/片栗粉 大さじ2杯/塩、コショウ 少々/パイロゲン キャップ1杯/三つ葉 適量
(お好みで、鍋のしめにうどん)
※小揚げが手に入らない場合は、油揚げで代用してください。
【調味料】
水(シイタケの戻し汁と合わせ) 4杯/かつお節 ふたつかみ/細切り昆布 ひとつまみ/塩 小さじ2杯/酒 大さじ2杯
【作り方】
- 小揚げは短いほうの片に切れ目を入れて、なかを広げサッとお湯に通しします。鶏ひき肉はポリ袋に入れて、みそ・生姜のすりおろし・片栗粉・塩コショウを加えてよく練ります。大根、ニンジンは短冊切りにします。干しシイタケはお湯で戻して薄切りにします。三つ葉は3㎝長さに切り。長いもは皮をむいてすりおろします。
- 小揚げの中にもちを入れ、爪楊枝で切れ目を閉じます。
- 鍋にシイタケの戻し汁と水を合わせた分量と切った野菜と昆布、かつお節を細かくしながら入れて、フタをして火にかけます。
- 汁が再沸騰したら、つくねのポリ袋の角を切って入れ再び煮ます。
- つくねに火が通ったら、もち巾着を入れ、仕上げにパイロゲンを加えて温めます。食べる直前に長いもを流し入れ、三つ葉を添えていただきます。
※鍋のしめは、うどんがおススメです。
星澤幸子(ほしざわ さちこ)さん
料理研究家。北海道南富良野町生まれ。札幌テレビ「どさんこワイド」の料理コーナー「奥様ここでもう一品」に25年毎日出演し、北海道の素材にこだわったお手軽な料理を紹介。その出演回数は現在もギネス記録を更新中。2009年「東久邇宮文化勲章」を受賞。著書は『あなたに贈る食の玉手箱』(ワニ・プラス)他多数。
星澤クッキングスタジオ公式サイト
http://www.hoshizawa-s.com
レシピ撮影/大滝恭昌