AKATSUKA グリーン通信 2019.7月号
6月号(243号)で熱帯スイレンのご紹介をしましたが、今月号ではちょっと変わった楽しみ方や、より深く楽しむための裏ワザ情報をいくつかご紹介します。
ムカゴでふやそう、ムカゴで簡単冬越し!
熱帯スイレンには、葉の中央部にムカゴ(小さな球根状の芽)を付ける種類があり、ムカゴ種と呼ばれていますが、そのムカゴからとても簡単に子株を作ることができます。その方法は親株から葉を切り離して水に浮かべるだけ! 親株から切り離された葉は、生き残ろうとしてムカゴに栄養分を集中させ、一人前の苗として自立を目指す…そんな感じです。
具体的には、若い葉は避け、ムカゴが膨らんでいる少し古い葉を選びます。3㎝ほど葉柄を付けて親株から切り離し、逆さまにして別の容器の水に浮かべます。水温の高い夏の時期であれば1週間もしないうちにムカゴから新芽が展開して根も伸び出し、3週間ほどで一人前の苗ができあがります。
親葉から苗を取り外し(この頃には親葉は腐ってなくなっていることも多い)、スイレン用土(または細粒の赤玉土)で3号~4号程度の鉢に無肥料で植え付けます。苗は逆さまの状態で生育していて植え付けにくいので、根は切り捨て、生長点を横に向けて浅く植えつけます。
このとき、土に埋め込まず、綿棒を曲げて(湿らせると良い)U字型のピンを作り、用土の表面に押し付けるようにすると良いでしょう。
水中に葉がもぐってしまってもすぐに伸びてくるので心配ありません。日向で管理し1週間ほど様子を見てから、プロミックなどを用土に埋め込みます。
7月中にスタートすれば、年内に花を咲かせることも難しくありません。
● ムカゴで簡単冬越し!
9月中旬~下旬に、ムカゴのある葉を水に浮かべ(今度は逆さまにしないのがポイント)、ムカゴを育てます。数週間後、元の葉の栄養を吸収して小さな球根(ムカゴ球)が育つので、水を入れた透明なコップなどの容器にいれて、室内の日当たりの良い窓辺に置いておきます。4月下旬~5月上旬(もっと遅くても大丈夫)、元気に新芽が伸び始めたら土に植え付けます。
切り花にして楽しむ
花茎が丈夫なので、切り花にして楽しめるのも熱帯スイレンの大きな特長です。香水のような素敵な香りを楽しむためにも、ぜひ切り花にしてみて下さい。
水揚げがとても良いので、ただ切り取って花瓶に挿しておくだけで、室内で咲き続けてくれます。コツとしては開花1日目の花を切ることで、日の当らない室内でも残り2日間きちんと開閉を繰り返してくれます。
メダカを飼おう
良く聞かれるのが、「一緒にメダカや金魚が飼えるの?」というご質問ですが、メダカはスイレンとの相性が抜群です。動きのあるメダカが注目を集めることで、スイレンの変化にも気づきやすくなり、結果として水足し忘れなどの管理ミスもなくなります。
ボウフラなどもわきにくくなり、動物と植物が同居することで水質も安定し、きれいな水が保ちやすくなります。ただし、金魚は土を掘り返して水が濁ってくることがあるので、あまりおすすめはできません。
注意点として、メダカはスイレンよりも高温に弱いので、あまり小さな容器には入れないほうが良いでしょう。また、ホテイアオイなどをいれるとメダカが繁殖しやすくなりますが、あまり茂ると邪魔になるので、適度な量にしてスイレンのスペースは確保しておきましょう。
文/グリーンアドバイザー 倉林雪夫
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