シャクナゲと赤塚植物園

2020.4月公開


日本に自生するシャクナゲ(石楠花)は深山幽谷で花を咲かせ、その気品にあふれた高貴な美しさは多くの人々を魅了してきました。しかし、暑さに弱く山採りして育ててもすぐ枯れるので、「シャクにさわって投げ(ナゲ)捨てるからシャクナゲだ」とジョークになるほど栽培が難しいと言われています。特に、日本シャクナゲ(ホンシャクナゲなど)は一部の限られた趣味家やマニアだけが育てることのできる特殊な花木でした。

近年、欧米で交配されたいわゆる「西洋シャクナゲ」が、比較的丈夫で育てやすいため普及してきました。赤塚植物園ではこの西洋シャクナゲの導入と普及に半世紀以上、努めてまいりました。

シャクナゲとは

シャクナゲ(学名:ロードデンドロン Rhododendron)はツツジ科の低木で、4月上旬から5月にかけて、10数輪の花が集まったくす玉状の豪華な花を咲かせます。
花色は赤、ピンク、青紫、白、黄色と非常に多彩で、華やかで気品にあふれるその姿から「花木の女王」と呼ばれ、多くの人々を魅了してきました。特に欧米では最も愛される花木のひとつとして家々の庭先や、公園などにもたくさん植えられています。

白、黄、赤、ピンク、色とりどりの花が咲くシャクナゲ

赤塚植物園とシャクナゲの出会い

1972年、赤塚植物園社長(現会長)の赤塚充良がアメリカの公園や庭園に咲き誇る、見事なシャクナゲを見たことから始まります。現地の公園や家々の庭に咲くシャクナゲは色とりどりで豪華絢爛、まさに「花木の女王」そのものでした。子どもの頭ほどのシャクナゲの花が色とりどりに咲いている姿に魅了され、この花が日本中に咲き誇ることを夢見て、約40万本の苗を輸入しました。
しかしアメリカから輸入した苗は、夏の涼しい欧州や米国北部の環境を想定して作出されたものだったため、暑さの厳しい日本の気候に合わず、苦労の連続でした。

ロトルア市(ニュージーランド)の街路樹 シャクナゲ「アイベリー・スカーレット」

アメリカのシャクナゲ生産者と赤塚充良

スーパーローディーの誕生

日本の気候に合うシャクナゲは日本で作るしかないという思いで、1981年から自社でオリジナル交配を開始。耐暑性に優れ、育てやすく、数多くの優良個体の作出に成功しました。これらの赤塚オリジナルシャクナゲは、これまでのシャクナゲとは一線を画していることからその総称として「スーパーローディー」と名付けられました。

赤塚オリジナルシャクナゲ「ジョイフルデー」

赤塚オリジナルシャクナゲ「ウェディングブーケ」

シャクナゲの組織培養

こうして誕生した赤塚オリジナルの新品種は、バイオ技術を駆使して増やしています。
日本初の洋ランの組織培養に続いて、シャクナゲも1987年に組織培養による大量増殖に成功。組織培養という先端技術によって、増えにくかったシャクナゲ苗を大量に、かつ親株と全く同じ性質を持ったシャクナゲを増やすことが可能になりました。
「FFCミュージアム館」の隣りにある「生物機能開発研究所」にて、培養中のシャクナゲのフラスコ苗を窓越しに見学することができます。フラスコ内の寒天培地の中に栄養素や植物ホルモンが入っており、苗が元気に育っています。

フラスコの中で増殖中のシャクナゲ

赤塚シャクナゲガーデンの誕生

スーパーローディーが誕生したものの、世の中のシャクナゲのイメージは、“弱くてすぐ枯れる”“素人には育てられない”というままです。そんなイメージを覆し、シャクナゲに親しんでもらわなければ、日本中に普及するという夢は、夢のままで終わってしまいます。
そのためにはシャクナゲが元気に大きく育ち、見事な花が咲いている場所を実際に見てもらうのが一番です。そこで本来は高山性であるシャクナゲの栽培には適さない低地、しかも多くの車が通る県道沿いにある自社の生産農場の一部をシャクナゲガーデンとして設営し、見本農場として20年の歳月をかけて育ててきました。

そして、2013年、赤塚シャクナゲガーデンとして一般公開を開始。
約10,000㎡の広さの園内には海外から導入してきた品種や、ここでしか見ることができない赤塚植物園自慢のオリジナル品種などを含め、200品種以上、約3,000本ものシャクナゲが咲き誇ります。また、大きなボールのような花が緑から白へと色を変えるオオデマリや1本の木に紅白の花をつける源平桃、桜、山吹、レンギョウ、ユキヤナギ、チューリップなど、シャクナゲの開花に合わせて花をつける木々や草花もたくさん植えられています。こうした花々とケヤキやカツラ、ヤマボウシなどの新緑の中で色とりどりのシャクナゲが咲く姿は日本有数と自負しています。

開花時期の異なる様々な品種のシャクナゲが咲き、お色直しのごとく園内の風景が変わっていきます

やわらかな木漏れ日の中でゆっくりと散策できます

多くの車が行き交う県道10号線で500mにわたって続くシャクナゲの垣根 “シャクナゲロード”の途中に入口があります

★アカツカオリジナルシャクナゲ 育て方のポイント

●置き場所
アカツカオリジナル品種は昔のものに比べ、格段に丈夫になり育てやすくなっていますが、乾きすぎは苦手です。
品種改良により暑さに強くなっていますが、夏の西日を避けられるところが理想です。寒さには強いため、冬も屋外で管理します。

●植え替え
植え替えは春なら4月中に行いますが、遅れた場合は10月~11月まで待って行います。
【庭植えの場合】
水はけの良い酸性土壌を好むので、庭の土に鹿沼土をたっぷり混ぜ込んで、深植えは避け、少し土を盛り上げるようにして浅く植えつけます。
【鉢植えの場合】
なるべく早く一回り大きな鉢に植え替えます。急に大きな鉢に植え替えると失敗しやすいので、一回りずつ大きな鉢に替えてゆくのがポイントです。鹿沼土を多めに使った水はけの良い酸性の用土を使うと失敗がありません。赤塚植物園のシャクナゲ用土がおすすめです。

●水やり
用土の表面が乾いてきたらたっぷりと与えます。庭植えの場合、1年目は月に2~3回程度与えますが、2年目以降はほとんど不要です。真夏に乾きすぎるようなら、週に1回程度、夕方にたっぷりと水やりすると良いでしょう。

●肥料
花後(6月まで)と10月にリン酸とカリの多い有機肥料を与えます。

●剪定
切ると花付きが悪くなるので、基本的には切りません。樹形を整えるなら、春と秋の新芽を間引く程度に剪定します。

●花ガラ摘み
花が終わってきたらタネができないよう早めに摘み取ります。

●病害虫防除
オルトラン粒剤を月に一度散布しておけば害虫予防になります。病気が出たら、被害の出た葉を摘み取り、殺菌剤を散布します。

★赤塚オリジナルシャクナゲのおススメ品種はこちら
↓↓
【赤塚オリジナルシャクナゲのご紹介①】へ
【赤塚オリジナルシャクナゲのご紹介②】へ
【赤塚オリジナルシャクナゲのご紹介③】へ


【栽培見本農場 赤塚シャクナゲガーデン】
〒514-2221 三重県津市高野尾町1902番地の1
開園期間:4月上旬~5月上旬
営業時間:9:00~16:30
詳細はホームページをご覧ください
https://www.jp-akatsuka.co.jp/production/farm03/

【アカツカFFCパビリオン】

アカツカFFCパビリオンは、三重県下最大級の総合園芸売店です。
洋ランや鉢花、観葉植物、切花、草花や野菜の苗、ハーブなど園芸植物のほか、鉢や土、肥料などの園芸資材、お花に関するグッズなど幅広く取り扱っています。
数々のギフト商品も取り揃え、ラッピングサービス、地方発送も承っています。お得なポイントサービスもございます。

〒514-2293
三重県津市高野尾町1868番地の3
☎ 059-230-2121
●定休日:毎週火曜日
●営業時間:平日10:00~17:00
(土日祝は18:00まで ※夏冬を除く)
詳しくは下記ホームページをご覧ください。
https://www.jp-akatsuka.co.jp/pavilion/

赤塚植物園では、お花のWEBショップ「赤塚植物園オンライン花の音」でも園芸商品を取り扱っています。