心に咲く花 31回 合歓(ねむ)
昼は咲き 夜は恋ひ寝る 合歓(ねむ)の花 君のみ見めや 戯奴(わけ)さへに見よ― 紀郎女(きのいらつめ) 【現代訳】 昼は咲いて夜は恋いつつ眠る合歓の花を私だけが見て楽しんでいてよいものだろうか。 あなたも一緒に見なさい…
昼は咲き 夜は恋ひ寝る 合歓(ねむ)の花 君のみ見めや 戯奴(わけ)さへに見よ― 紀郎女(きのいらつめ) 【現代訳】 昼は咲いて夜は恋いつつ眠る合歓の花を私だけが見て楽しんでいてよいものだろうか。 あなたも一緒に見なさい…
夏の日はなつかしきかな こころよく 梔子(くちなし)の花 汗もちてちる― 北原白秋 【現代訳】 夏の日はなつかしいなあ。白くて香り豊かな「梔子の花」が、汗のような水分を含んで土に還ってゆくのを眺めていると。 心に咲く花 …
みづからの 光のごとき 明るさを ささげて咲けり くれなゐの薔薇― 佐藤佐太郎 【現代訳】 自らがもつ光のような明るさをささげながら、真紅の薔薇が咲いているなあ。 心に咲く花 2020年29回 薔薇(バラ) 正岡子規の「…
一生は 守ってやれない 孫たちに シロツメクサの 髪飾り編む― 畠山みな子 【現代訳】 かわいい孫たちと過ごす時間。けれどもどんなにずっとそばにいたくてもそれはかなわない。一生守ってあげることはできない孫たちに、それでも…
連翹の 花のたわみを とびこえて 啼くうぐひすの 時にちかづく― 太田水穂 【現代訳】 連翹の黄色い花がたわわに咲くところをとびこえて、うぐいすが時々近づいてくる。「春告鳥」とも呼ばれる、その啼き声を聞かせながら・・。 …
山吹の 花の盛りに なりぬれば 井手の渡りに ゆかぬ日ぞなき― 源実朝 【現代訳】 山吹の花のさかりの時期になったと聞けば、古来、山吹の名所として知られる歌枕の「井手の渡り」に毎日でも通いたいほどだ。 心に咲く花 202…
年老いし 警備員が 花咲かせ置く くれなゐ淡き 木瓜(ぼけ)のひと鉢― 鎌田純一 【現代訳】 年を重ねた警備員が警備員室に淡い紅色の花が咲く木瓜の一鉢を飾っている。 年老いた警備員の心を潤してくれるような木瓜の花の優しい…
一度だけ 本当の恋が ありまして 南天の実が 知っております― 山崎方代 【現代訳】 晩秋から冬の間、赤い実を輝かせる「南天の実」。 生涯にたった一度だけのたいせつな恋をこの南天の実だけが知ってくれている。 心に咲く花 …
山里の 草のいほりに 来てみれば 垣根に残る つはぶきの花― 良寛和尚 【現代訳】 山里にある静かな草庵に来てみると、垣根にはつわぶきの黄色い花が咲き残っていた。 心に咲く花 2019年23回 つわぶき 一七五八年、越後…
裏山の 径(みち)をのぼりて 木犀の 香を嗅ぐころぞ 秋はれわたる― 斎藤茂吉 【現代訳】 裏山の道をのぼっていくと、香りのいい木犀が咲いている。思わず鼻を近づけて匂いを嗅ぎたくなるような木犀だ。この頃になると天高く晴れ…