心に咲く花 41回 石楠花(シャクナゲ)
石楠(しゃくなげ)は 木曾奥谷に にほへども そのくれなゐを 人見つらむか ― 斎藤茂吉 【現代訳】 石楠花が木曾の奥深い谷に美しく咲いている。こんな険しい場所に咲く見事な「紅」をこれまでも人々は見たのだろうか。 心に…
石楠(しゃくなげ)は 木曾奥谷に にほへども そのくれなゐを 人見つらむか ― 斎藤茂吉 【現代訳】 石楠花が木曾の奥深い谷に美しく咲いている。こんな険しい場所に咲く見事な「紅」をこれまでも人々は見たのだろうか。 心に…
心に咲く花 40回 菖蒲(あやめ) よろづよに かはらぬものは 五月雨の 雫に薫る あやめなりけり ― 源経信 【現代訳】 いつの時代にも変わらないものは、五月雨のしずくに薫る紫色の菖蒲(あやめ)の花のすばらしさである…
花水木の 道があれより 長くても 短くても 愛を告げられなかった ― 吉川宏志 【現代訳】 花水木の植えられている道があの長さよりも長かったとしても、短かったとしても、この思いをあのタイミングで伝えることはできなかった…
妹(いも)が汲む 寺井の上の 堅香子(かたかご)の 花咲くほどに 春ぞなりぬる ― 衣笠家良(きぬがさいえよし) 【現代訳】 あなたが汲む寺の井戸のあたりに片栗(堅香子)の花が咲いている。この紅紫色の可憐な花が咲くほど…
猫柳 薄紫に光るなり 雪つもる朝の河岸のけしきに― 北原白秋 【現代訳】 まだ雪が積もっている寒い朝の河岸に、猫柳が薄紫色に光っているなあ。柔らかい毛に包まれた花穂がまるで猫の尻尾のようにも見える猫柳よ。 心に咲く花 2…
冬にいる 庭かげにして 山茶花の はな動かして ゐる小鳥あり― 中村憲吉 【現代訳】 冬に入った庭で、寒さにも負けず、山茶花が咲いている。その山茶花を動かしている小さなかわいい鳥がいるなあ。 心に咲く花 2021年36回…
草深く 花はかくれて 咲きいたり キチジョウソウの 薄いむらさき― 鳥海昭子 【現代訳】 草深い場所に吉祥草の花が隠れるように咲いている。咲いた家に幸運をもたらすという伝承のある、淡紫色の吉祥草の花よ。 心に咲く花 20…
嫁ぐ日の子の白無垢は忘れえず 天空までのそばの花見ゆ― 山本明子 【現代訳】 嫁いでいった日の娘の白無垢は忘れることができない。まるで天空までつながっているような純白色の蕎麦の花が見えたあの日。 心に咲く花 2020年3…
偶然(わくらば)に 子が採り来しとふ 望(もち)の夜の すすきに添へて 吾亦紅(われもこう)もあり― 田谷鋭(たやえい) 【現代訳】 たまたまこどもが摘んだという吾亦紅が、満月の夜、すすきとともに飾られている。 心に咲く…
恋するや 遠き国をば 思へるや このたそがれの 睡蓮の花― 与謝野晶子 【現代訳】 恋をしているのだろうか。どこか遠い国を思っているのだろうか。 この黄昏時に咲く睡蓮の花は・・。 心に咲く花 2020年32回 睡蓮(すい…