星澤幸子の和食のチカラ 2024年7月-8月 夏の冷たい麵料理
食欲不振の夏には栄養バランスのとれた麺類を
連日の猛暑が続いています。最高気温が40度を超え、テレビのニュースでは「不要不急の外出を控えて」というフレーズとともに、熱中症への注意を促しています。
暑い夏場には、どうしても食欲が減退してしまいます。そんな時、強い味方が冷たい麺類。のど越しがよく、食欲がわかない時でもぺろりといただけるので、「毎日お昼は麺類」という方も多いと思います。そうめんが大活躍、といったご家庭も多いでしょう。
ひと口に冷たい麺類と言っても、和食のジャンルなら、うどん、そば、そうめん、ひやむぎ。中華なら、冷やし中華や冷やしタンタン麺、さらにはイタリアンで冷製パスタなど、
私たちは、幸せなことにバリーション豊かな冷製麺料理が楽しめる国に暮らしています。
うどんを例にとっても、秋田の“稲庭うどん”、コシがあり噛み応え抜群、香川の“讃岐うどん”、福岡県人のソウルフードである柔らか“博多うどん”。三重県の“伊勢うどん”、幅広でおなじみの群馬県“ひもかわうどん”、噛み応えのある東京と埼玉エリアでおなじみの“武蔵野うどん”など。
それぞれの地域の風土や歴史に根差した多彩なご当地うどんが存在します。
今回は、うどんとそうめんを使って、一皿で栄養バランスの取れた麺料理をご紹介します。ひとつ目は「冷製トマト肉みそうどん」。たんぱく質やビタミンB群が摂れる豚肉、ビタミンCやリコピン、さらにカリウムなどのミネラルを含む健康素材のトマト、やはりビタミン、ミネラルが豊富なオクラを使った栄養満点の冷製うどんです。トマトの旨味成分、グルタミン酸によって爽やかでしっかりとした味わいが楽しめます。
ふたつ目は、アサリとワカメのお出汁でいただく「冷たいアサリそうめん」。アサリにはコハク酸という旨味成分が含まれており、それ故、お吸い物など汁物にも重宝されています。また、カルシウムやカリウム、鉄分、亜鉛など豊富なミネラルも魅力です。そして、やはりミネラル豊富で、水溶性食物繊維が腸内細菌を育むワカメを一緒にいただくことで、よりいっそうヘルシーなそうめんに。
食欲もないし、簡単だからと食事を麺類にする際も、ちょっとしたひと工夫と素材選びで栄養バランスの取れた、味わい深い一品になるのです。猛暑に負けず、生き生きとした毎日を送るために、チャレンジしてはいかがでしょう。
このページでご紹介するレシピ
食べ応え抜群のスタミナうどん
冷製トマト肉みそうどん
【材料】(2人分)
うどん 2玉
豚ひき肉 200g
ニンニク、ショウガ 各1片
油 大さじ1杯
ザーサイ 40g
トマト 中2個
オクラ 2本
塩 少々
【調味料】
味噌 大さじ2杯
酒、てんさい糖 各大さじ1杯
しょうゆ 小さじ1杯
パイロゲン キャップ1杯(約5.5ml)
コショウ 少々
【作り方】
- うどんはちょうど良くゆでて冷水にさらし、水気を切って深めの器に入れます。
- ニンニク、ショウガ、ザーサイをみじん切りにし、トマトは1㎝角に切ります。オクラは塩でもんでから洗い、うどんのゆで汁でサッと湯通しし、輪切りにします。
- フライパンに油を熱してニンニク、ショウガ、豚ひき肉の順に炒め、肉に火が通ったら、ザーサイと調味料とパイロゲンを加えて味を馴染ませます。トマトを加えて軽く火が通ったら、冷まします。
- 皿に盛ったうどんに、❸の肉味噌をかけ、上にオクラを天盛りしていただきます。
上品で味わい深い和食のテイスト
冷たいアサリそうめん
【材料】(2人分)
そうめん(乾麺) 200g
アサリ(殻付き) 200g
ワカメ 30g
万能ネギ 少々
水 カップ3杯
【調味料】
酒 大さじ2杯
しょうゆ、みりん 各大さじ1杯
パイロゲン キャップ1杯(約5.5ml)
塩 小さじ1/2杯
【作り方】
- アサリは、貝の表面を一個ずつこすり洗いし、砂出ししておきます。ワカメは一口大、万能ネギは小口切りにします。
- 分量の水にアサリを入れて火にかけ、中火で貝が開くまで煮ます。
- 貝が開いたら、調味料とパイロゲンとワカメを入れてひと煮立ちさせて冷やします。
- そうめんは、ゆでて冷水で冷やして丼に入れ、冷やしたアサリ汁をかけ、万能ネギをあしらっていただきます。
星澤幸子(ほしざわ さちこ)さん
料理研究家。北海道南富良野町生まれ。札幌テレビ「どさんこワイド」の料理コーナー「奥様ここでもう一品」に25年毎日出演し、北海道の素材にこだわったお手軽な料理を紹介。その出演回数は現在もギネス記録を更新中。2009年「東久邇宮文化勲章」を受賞。著書は『あなたに贈る食の玉手箱』(ワニ・プラス)他多数。
星澤クッキングスタジオ公式サイト
http://www.hoshizawa-s.com