星澤幸子の和食のチカラ 2023年5月-6月 アサリ
3月から6月にかけては潮干狩りシーズンです。ご家族そろってお出かけになり、とれたアサリをお味噌汁やお吸い物、酒蒸し、あるいはパスタなどで楽しんだ方も多いのではないでしょうか。
じつは春や秋の産卵期の前にとれるアサリは、旨み成分であるコハク酸が豊富に含まれており、それだけ美味しいのです。
このコハク酸、単に旨み成分であることにとどまらず、体にうれしい健康効果もいろいろと報告されています。体内でエネルギーを作り出すサイクルに深く関わっているほかに、がんの増殖を抑制する効果、肌の保湿や新陳代謝への効果、さらには脂肪を燃焼させる効果までわかってきています。ちなみに、コハク酸はアサリの以外にシジミやカキなどの貝類に多く含まれています。
また、アサリはコハク酸以外に、貧血予防に大切なビタミンB12や鉄分、さらにカルシウムやカリウム、亜鉛などのミネラルも豊富。美味しいうえに体にも、美容にもいいのですから、この時期のアサリは積極的に食事に取り入れたいものです。
とは言え、お味噌汁に入れるだけではさすがに飽きてしまいますし、家族も喜んでくれなくなります。そこで今回は、いつもとひと味違ったアサリのレシピをご紹介しましょう。アサリと春雨を使った中華風のピリ辛炒めと、ちょっとしたパーティにも使える食卓を華やかにしてくれる海鮮パエリアです。ぜひチャレンジしてみてください。
最後に、アサリをお料理に使う際のひと手間について。アサリは海から出て、呼吸できない状態になると生命を守るために体内のグリコーゲンを分解してコハク酸を作り出して生き続けようとします。そのため、砂抜きしたあと、水気をふき取って冷蔵庫に1、2時間入れたり、ちょっと時間をおいて調理するひと工夫で、アサリの中のコハク酸を増やすことができるのです。
ただ、時間をかけすぎて、アサリがコハク酸を消耗してしまうと死んでしまい、腐敗が始まるのでその点は要注意です。
このページでご紹介するレシピ
ご飯がすすむピリ辛中華風おかず
アサリと春雨のピリ辛炒め
【材料】(2人分)
アサリ 200g/塩(砂出し用) 少々/春雨 50g/長ネギ 1本/ニンニク 1片/水 カップ1杯/パイロゲン キャップ1杯
【調味料】
しょうゆ 小さじ1杯/酒 大さじ1杯/塩 小さじ1/4杯/ゴマ油 大さじ1杯/粗みじん切唐辛子 少々
【作り方】
- アサリはこすり洗いして、海水くらいの濃度の塩水(約3.4%)に入れて砂出ししておきます。春雨は半分に切り、長ネギは縦半分の斜め千切り、ニンニクは薄切りにします。
- 鍋に分量の水とアサリ、パイロゲンを入れて火にかけ、沸騰したら春雨、ニンニクを入れます。アサリの口が開き、春雨が透明になるまで蓋をして中火で煮ます。
- 火が通ったら蓋を取り、長ネギ、調味料、ゴマ油を加えて強火で煮絡めます。盛り付けて、粗みじん唐辛子をあしらいます。
豪華でヘルシーなおもてなしメニュー
海鮮パエリア
【材料】(4人分)
甘エビ 8尾/ホタテ 4個/アサリ 200g/塩(砂出し用) 少々/米 1・1/2合/ニンニク 1片/オリーブオイル 大さじ1杯/ピーマン・レモン 各1個/水 カップ1・1/4杯/パプリカ粉 大さじ2杯/酒 大さじ1杯/塩 小さじ1杯/パイロゲン キャップ1杯
【作り方】
- 米を研ぎ、30分ほど水に浸します。甘エビは塩水でサッと洗います。ホタテはひと口大に切り、ホタテのひもは塩で揉み洗いしてひと口大に切ります。アサリは殻をこすり洗いして塩水に漬けて砂出しします。ニンニクはみじん切りにします。
- フライパンにオリーブオイルを熱してニンニクを炒め、香りが立ったらアサリと水気を切った米を炒めます。米に油がまわったら分量の水と調味料、パイロゲンを入れて混ぜながら水気を吸わせます。
- ホタテと甘エビをのせてフタをし、弱火で20分、火を止めて10分蒸らします。
- ひと口大に切ったピーマンとくし型に切ったレモンをあしらいます。
星澤幸子(ほしざわ さちこ)さん
料理研究家。北海道南富良野町生まれ。札幌テレビ「どさんこワイド」の料理コーナー「奥様ここでもう一品」に25年毎日出演し、北海道の素材にこだわったお手軽な料理を紹介。その出演回数は現在もギネス記録を更新中。2009年「東久邇宮文化勲章」を受賞。著書は『あなたに贈る食の玉手箱』(ワニ・プラス)他多数。
星澤クッキングスタジオ公式サイト
http://www.hoshizawa-s.com
レシピ撮影/大滝恭昌