AKATSUKA グリーン通信 2022.春号
今や春から秋の花壇に欠かせなくなったペチュニア。20年以上前のガーデニングブーム全盛期にサフィニアが登場以来、ずっと人気が衰えない花です。春から秋まで美しい花がたくさん咲き続け、庭や花壇を華やかに彩ります。
「実生系」と「栄養系」の違い
ペチュニア、カリブラコアには大きく分けて2つのタイプがあります。一つは実生系品種、もう一つは栄養系品種です。
実生系品種はその名の通り種から育てる品種です。その多くはF1品種と呼ばれるもので、生産コストが低く手ごろな価格で入手が可能です。初夏までたくさん花が咲きますが、株の寿命が短く暑さに弱いため、真夏にはほとんど枯れてしまいます。
一方の栄養系品種は主に挿し木で増殖をします。切り戻し、挿し木などで親株を更新し、同じ品種を作り続けることができます。前述のサフィニアは栄養系の代表的な品種です。実生系とは異なり雨や暑さ、寒さに強い親の交配から誕生したので、夏が暑い日本でも秋までずっと花を楽しめます。挿し木の説明は後述します。
カリブラコアはペチュニアによく似ており、いくつかの違いがありますが、基本的な栽培方法は同じです。代表的な品種にはミリオンベルなどがあります。
最近のペチュニア、カリブラコアは品種改良により丈夫で簡単に育つものばかりです。ポイントを押さえれば誰でも簡単にたくさんの花を咲かせることができます。
栽培のポイント
●土と肥料・鉢
用土は必ず新しい培養土を使用します。ナス科の植物なので連作を嫌うため古い土の使いまわしは厳禁です。培養土にはマグアンプなどの元肥をしっかり施します。
ペチュニア類は小さな鉢に植えてしまうとすぐに根詰まりし、生育が悪くなるので大きめの鉢で育てます。大きすぎる鉢はよくありませんが、特に生育旺盛な栄養系品種は30センチくらいの大きさが必要です。肥料が切れると花が減り葉の色つやも悪くなるので、生育に合わせて追肥を与えます。薄めの液肥を水やりがわりに与えるのも有効です。
●置き場所
基本的には雨に弱く日当たりを好むため、雨の当たらない一日中直射日光の当たる場所が最適です。最近は雨に強い品種も多く、そういう品種を選ぶのも一つの方法です。
●ピンチ
春に苗を植えたものは数か月で株が込み合い、花は株の先端にしか咲かず株の中が蒸れやすくなります。一度蒸れてしまうと生育が悪くなり病気で枯れることもあるので、株の中が込み合う前に株の三分の一程度まで刈り込みまましょう。3週間程度で再び花をたくさん咲かせます。
梅雨に入る前に刈り込むと梅雨時期に蒸れず、梅雨明けぐらいから花が咲きます。8月頃もう一度刈り込むと9月頃から再び花が咲きます。
最近は刈り込まなくても綺麗に草姿が整い、花が咲き続ける品種もあります。そういう品種は刈り込みの有無で自分の好きな大きさに育てることもできます。
●挿し木
栄養系品種は開花と同時に新芽をたくさん出し、挿し木もできます。梅雨前と8月頃の刈り込みと同時にするのがおすすめです。
【方法】土に挿す葉の下の茎を1センチ程度残して2~3節で切り揃え、挿し穂を準備します。清潔な土(赤玉土細粒、バーミキュライト、肥料分を含まない園芸培養土など)を鉢に入れ、挿し穂を1センチ程度土に挿して水を十分にあげます。その後、日陰の涼しい場所に置き、適度に水やりします。2週間もすると根が生えてきますので上手に育てて冬越しすれば、何年も同じ品種の花を楽しめます。ただし登録品種は法律で他人に譲渡、販売が禁止されているので注意が必要です。
●水やり
土が乾いてきたらたっぷりとあげます。株が蒸れたり、根が腐るのを避けるため暑い時期は朝夕の涼しい時間にあげます。夏は朝夕2回必要なこともあります。
順調に生育すれば栄養系品種は11月頃まで咲き続けます。
おススメの品種
さくらさくら
桜のような淡いピンクの花を一面に咲かせます。横に広がるようにどんどん伸びていきます。雨が降ると花を閉じ、晴れると再び開く性質があるので雨による花の傷みもあまりありません。広い花壇などを一面ピンクのじゅうたんにしたい方にはおすすめです。
スーパーチュニア
花色や大きさの異なるいくつかのラインアップがあります。暑さや蒸れに非常に強く、雨による花傷みが少ないのが特長です。切り戻しの有無にかかわらず花が咲き続けます。
ミニブルースター
〝スーパーチュニア ビスタ ミニ〟の中でも特に分枝力が優れ抜群の花つきが特長です。雨にも強い小ぶりの花が春から秋まで咲き続けます。
スーパーベル
小ぶりの色鮮やかな花が人気のカリブラコアの品種で花色や大きさの異なるいくつかのラインアップがあります。生育旺盛ですがスーパーチュニアよりもおとなしく、美しいまとまった株姿になります。
サフィニア ももいろハート
花弁にピンク色のハート模様が入る印象的な品種。分枝力に優れ、中輪の花を次々咲かせます。ハート模様は肥料や温度で色や形が変わり、園芸上級者の腕試しにもってこいです。育てやすく初心者にもおすすめです。
ミリオンベル ピーチマーブル
咲き始め薄黄の花が白桃のような薄ピンクへ変化する愛らしい花色の品種。育てやすさは折り紙つき。簡単丈夫で初心者にも安心です。
最近のペチュニア、カリブラコアには多種多様な品種がたくさんあります。花壇、鉢植え、寄せ植え、ハンギングなどあらゆるシーンで活躍するペチュニア、カリブラコア。今年は自宅のお庭をお好みのペチュニアで花いっぱいに彩ってみませんか。
文/工藤 一成
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