赤塚植物園では自社の園芸植物の生産において、また、里山庭園「レッドヒルヒーサーの森」や研究栽培農園「鈴鹿の森庭園」の管理においてFFC製品を使用し、生産性の向上や健常な植物の育成に役立てています。
一方、全国各地でFFCテクノロジーを活用されている事業者様からは、各種品目の作物について品質向上、収量増加、環境ストレスへの耐性の向上など、様々な事例が確認されています。
このページでは、それらの事例のメカニズムを理解するための実験の一部をご紹介します。詳細はPDFファイルをご覧ください。植物関連の研究については「研究一覧」ページもご覧ください。
FFC研究レポート 農業編
【内容】
- 「FFCエースはオオムギの生育を促進し、収量を高める」
- 「FFCエース区のオオムギは光合成速度が増加しているか」
- 「オオムギうどんこ病のオオムギへの感染に対するFFC製品の効果」
- 「水不足ストレス下でのシロナの生育に対するFFCエースの効果」
- 「サトウキビの収量および硝酸態窒素の溶脱に対するFFCエースの効果」
FFCエースはオオムギの生育を促進し、収穫量を高める
要約:
農林水産省によると、日本の食料自給率は38%(2023年)で他の先進国と比べ非常に低い水準である。また世界人口が今後ますます増大すると、世界的な食料争奪はさらに激化する。そのような状況において、我が国の食料自給率を高い水準に戻し、将来の食料不足を回避するためには、既存農地の生産性を高める方法が現実的である。
FFCエースを活用すると、生長促進、品質向上や安定、収量増加や安定などの効果が得られることが、農業生産者から報告されている。そこで、この特徴的な土壌改良材であるFFCエースの、オオムギの生長や収量に及ぼす影響を圃場実験により調べた。FFCエースを砂質土壌に900kg/10aの割合でよく混合したところ、根やシュートの生長、分げつ数、1株あたりの実の重さが大幅に向上した。FFCエースを処理した圃場の総収量は、1.73倍増加した。FFCエース区で栽培した植物体は、対照区よりも緑色が濃く、SPAD値も高かった。我々の調査から、FFCエースの土壌への施用が、オオムギの生長と収量を有意に向上させることが明らかとなった。
FFCエース区のオオムギは光合成速度が増加しているか
要約:
我々は、圃場実験において、FFCエースの土壌への施用が、オオムギの生長と収量を有意に向上させることを明らかにした(研究レポート「FFCエースはオオムギの生育を促進し、収穫量を高める」)。そこで、本研究では作物の生産性と密接な関連にある光合成速度に対するFFCエース施用の効果を調べた。FFCエース処理区のオオムギの葉の光合成速度は、広範囲な光合成光量子束密度において、有意に促進された。したがって、FFCエースによるオオムギの生長促進や増収には、光合成速度の向上が関連していると考えられる。
オオムギうどんこ病のオオムギへの感染に対するFFC製品の効果
要約:
農業にFFC製品を活用した際の効果として、生長促進、品質向上、収量増加のみならず、病害抵抗性や環境適応性の向上も報告されている。そこで、本研究では、FFC製品がオオムギの生育を促進し、うどんこ病に対する抵抗性を向上させるかどうかを検証した。オオムギを種子から栽培するための基質(バーミキュライト)へのFFCエースの混合(3%)と1000倍希釈FFCパイロゲン(FFCセラミックス浸漬水で希釈)による催芽時の種子処理によって、オオムギの全草重量は有意に増加し、葉の緑色も濃くなった。さらに、FFC処理をして栽培したオオムギの子葉鞘では、うどんこ病菌の感染が阻害される傾向が認められた(0.05≦p<0.1)。以上の結果より、FFC製品による処理は、植物の生長を促進させるとともに、病害抵抗性も高めると考えられる。
水不足ストレス下でのシロナの生育に対するFFCエースの効果
要約:
農業生産者の検証により、FFCエースの活用効果として、生長促進、品質向上、収量増加、病害抵抗性向上のみならず、環境適応性の向上も報告されている。そこで本実験では、適量潅水条件と半分量潅水条件においてシロナを栽培し、土壌へのFFCエースの施用が、水不足ストレス下でのシロナの生育にどのような効果を及ぼすのか、検証した。適量潅水条件では、FFCエースを2%混合した培養土でポット栽培したシロナは、対照区と比較して、地上部の乾燥重量が1.49倍、地下部の乾燥重量が1.22倍、葉面積が1.42倍、高値であった。半分量潅水条件において、FFCエース区では、対照区と比べて、地上部の乾燥重量が1.54倍、地下部の乾燥重量が1.76倍、葉面積が1.43倍、高値であった。適量潅水条件の対照区と半分量潅水条件のFFCエース区を比較すると、半分量潅水条件のFFCエース区では地上部の乾燥重量が12.5%、地下部の乾燥重量が24.2%、葉面積が23.6%劣っていた。この生育の減少量は、半分量潅水条件の対照区と比べ、半分以下に留まっていた。以上の結果は、水不足による生長の減退がFFCエースの施用により顕著に抑えられたことを示している。
サトウキビの収量増加、および硝酸態窒素の溶脱抑制に対するFFCエースの効果
要約:
農業を取り巻く環境問題の一つとして、農地から溶脱した硝酸態窒素が主要因となる地下水汚染の問題があり、人の健康や家畜の飲料水、さらにはサンゴ礁海域等の自然環境に影響を及ぼす世界的な課題として重視されている。農地にFFCエースを施用することで、生長促進や収量増加などの作物に対する効果だけでなく、土壌への効果、例えば土を柔らかくして、水はけをよくする、ことが農家の経験として知られている。そこで、本実験では土壌へのFFCエースの 施用がサトウキビの収量や畑からの硝酸態窒素の溶脱にどのような効果を及ぼすのか、検証した。FFCエースを7.5袋(150kg)/10a相当施用した圃場では、化学肥料のみを標準量施用した対照区よりも収量が1.3倍高かった(危険率5%で有意差あり、t検定)。また、FFCエースを7.5袋/10a相当施用してサトウキビを栽培した圃場では、化学肥料と堆肥を標準量施用してサトウキビを栽培した圃場と比べて、土壌からの硝酸態窒素の溶脱が期間によっては最大30%も少なく、栽培期間全体を通しても21.1%抑制されていた。したがって、農地へのFFCエースの施用により、限られた栄養分で作物の生産性が高められることが期待できるとともに、硝酸態窒素の溶脱による地下水汚染の抑制も期待できる。