殖菌試験で細菌が減る!FFC活用の卵
広島県世羅高原にある有限会社津口ファーム。大自然の中で、ヒナから卵まで一貫生産。年間飼育数が25万羽の大規模養鶏場である。
鶏舎内に日光を取り入れ、さらにFFCテクノロジーの導入により、健康な鶏を育て安全・安心な卵を毎日生産している。
生産された卵は、オートメーション化された洗卵選別包装施設に送られた後、GPセンターでパック詰めされ出荷されていく。一般的な大規模養鶏場では、次亜塩素酸ソーダで洗卵されるが、津口ファームではFFCウォーターで洗卵を行う。まさに、初めから終わりまでFFCテクノロジーを活用。
そんな津口ファームの卵は、保健所の検査機関などによると細菌数がゼロ。より多くの方に安心して食べてもらいたいと。
広島大学大学院生物圏科学研究科の中野宏幸教授は、FFC活用の津口ファームの卵と一般卵による細菌増殖実験を行った。卵をサルモネラ菌の菌液あるいは鶏糞の液体に2晩漬けた後、37度で長期間保存。すると、2日目には、FFC活用の卵は菌が全く見られなくなり、また鶏糞の液体に漬けた卵も菌数が少なかった。
一方、一般の卵はすべての卵が腐敗状態になり、1g当たりの菌数が1億以上になるという驚くべき結果が得られた。
中野教授は、「今の養鶏はストレスがかかることによって生体防御機能が低くなり、それが菌を増殖させるきっかけになっている」と指摘した上で、「FFCを活用することによって、卵が本来持っていた力を取り戻すことができる。今後は、そのような生体本来の防御機能を引き出すシステムを構築することが重要」と解説した。
経済性アップ!地域に愛される養鶏場
大雨が降ると鶏の糞尿が流れ出し、悪臭が地域に広がった。一昔前、社長の門田和晴さんは眠れない日々が続いたという。そんな時にFFCの話を聞きすぐに導入を決意。効果はすぐに現れ始めた。
地域住民からのクレームはなくなり、「頑張ってね」と励まされるまでに。ハエや臭い等の畜産公害が解消された。
しかも、その鶏糞は賞を受けるほど良質な肥料に生まれ変わり、地域の農家へ販売・還元されている。さらに、コスト削減という思わぬ経済効果も生まれた。
75%だった産卵率がFFC導入後80%になった。
岡山大学農学部の横溝功教授によると、わずか5%でも、25万羽であれば、経済効果は4800万円になるという。さらに、育成率の向上で元気で健康な鶏が飼えるので、薬剤費も削減。諸々を計算すると5000万円の経済効果が。しかもこれには従来より卵の価値が上がり高く売れるという高付加価値部分の計算は入っていないという。
「タンパク源となるおいしくて安全な卵を適正な値段で提供し消費者の方に食べてもらいたい」門田社長の思いは、今でもFFCによって継続してかなえられている。